長岡FP事務所のブログ

住宅購入のお金のこと

国はなぜ投資を勧めるのか

本日のテーマは

 

なぜ国は投資を推奨するようになったのか

 

です。

 

ここ最近、積み立てNISAなど国が投資に対して税の優遇をするなど、やけに投資を推奨しているように感じませんか?

 

これに対して陰謀論じみたことを言う人もいます。

 

公的年金が破綻することが分かっていて、国民に自己責任で用意させるために投資させようとしている。」などという意見です。

 

しかし実際にはそうではありません。

 

もっと深い事情があるのです。

 

そもそも日本人は世界でも珍しい「貯蓄」を好む国民です。これは明治時代以降、国が戦費調達のために国民に預金を奨励した結果と言われています。

その習慣は現代でも続き、日本人の現預金による資産は50%を超えています。

 

アメリカでは現預金の資産は10%強程度です。

 

このことに国は非常に危機感を募らせています。

 

アメリカではGoogle、アップル、フェイスブックAmazonなどの巨大企業が育ち、そのほかも日々新しい企業が生まれています。

一方、日本ではアメリカと違いベンチャー企業が育ちにくいと言われています。

 

それは、企業が資金を調達する方法の違いにあります。

 

アメリカでは「直接金融」と言って、ベンチャー企業が投資家から直接資金を集めることが盛んに行われています。ベンチャー企業が成長し株式を店頭公開したら、その株式に投資する個人も出てきます。

そして莫大な資金の調達に成功し、さらに企業が大きくなっていくわけです。

 

このようにリスクのある新しい産業にも資金が集まり、その中の一部がGAFAのように大成功するという流れがあるのです。

 

日本では「間接金融」が主流です。これは銀行が企業に融資をすることを指します。個人が銀行に預金をし、そのお金を企業に貸し付けるわけです。

銀行が企業に融資するときには、厳しい審査を行います。確実に融資を回収できる見込みがなければ審査は降りません。銀行は高いリスクを嫌うのです。

 

住宅ローンも間接金融のひとつです。

 

間接金融ではリスキーなベンチャー企業には十分な融資が行われず、結果的に世界に進出するような新しい企業が育たないという悪循環に陥ってしまいます。

 

かつて世界有数の経済大国だった日本は、ここ数年、見る影もないのはご存じの通りです。中国企業や韓国企業がこの20年で力をつけ、世界企業となっているケースが目立つのも言うまでもありません。

 

こういう背景から、日本では「貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、投資に関心を持ってもらう施策を沢山打っています。

その効果もあり、20代の若い世代が投資に興味を持つ姿を見たことがある人は多いのではないでしょうか。アメリカ株がずっと好調だったおかげで「増える期待」があるのだと思います。

 

しかしながら、国の思惑とは反対に、日本人の資産の預貯金の割合はむしろ増加しています。

 

若者が投資に興味を持ったとしても、日本の個人資産は60歳以上の高齢者が多くを保有しています。その高齢者の資産を相続するのも、50代から60代という世代です。

 

この世代になると投資によってリスクを負う必要がない(増やす必要もない)ため、現預金として資産を保有し続けるのでしょう。

 

20代が投資に興味を持っているとはいっても、積み立て投資にお金を回せる余裕のある人たちは限られています。投資どころか預貯金額も極めて少ないのが現状です。

 

弊社の相談会に参加する20代夫婦のうち、貯蓄ゼロは約半分います。この経済環境では貯蓄ゼロも仕方ありません。決して浪費しているわけではなく、コロナなどによる物価高が直撃していたり、そもそも収入が下がっているせいです。

 

そんな状態なので積み立てをしてもその額は極めて少額で、日本の経済構造を変えるほどのインパクトはありません。

 

また、積み立て投資にははっきりとしたリスクもあります。

 

鬱などの疾患を抱えたり、転職を失敗するなどによって収入が下がってしまったら、もう積み立ては出来なくなるのです。このことを甘く見ている人をよく見かけます。

 

会社員という、収入を勤務先だけに依存する家計の中から、毎月積み立てを続けるというのは私にはリスクが高いように思います。

 

当社では投資よりもまず現預金を積み上げることを優先するように、特に若い世代にはアドバイスしています。また、長期間働けなくなった時にも収入が確保される仕組みの構築をするのが、積み立て投資よりも先です。

 

ネットの情報だけに惑わされず、あえて投資をしない、その前に家計をリスクに強くするための仕組みを構築することを考えて頂きたいと思っています。