住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
今日のテーマは
住宅ローンはいくらまで借りられるか?
です。
銀行に対して住宅ローンの審査をするとき、必ずある疑問にぶつかります。
①住宅ローンは収入の何倍まで借りられるの?
②その明確な基準はあるの?
③審査に何らかの「ちから」が働いてより多く借りられることはあるの?
最近は低金利であることと、返済が長期に及ぶケースがほとんどであることから、なるべく若い年齢で建てることを推奨される傾向があります。
自己資金(頭金)を貯めずに、今すぐ建てましょうと言われることも珍しくありません。
そうなると、いくらまで借りられるかという不安を抱くのです。
借りられる金額は・・・
インターネットやノウハウ本の類では、6倍とか7倍とか書かれてありますが、正確ではありません。
年収の何倍という基準は存在しません。
実際は、返済比率という基準で決められています。
これは年収に対して毎年の返済金額が一定以下に収まっているかということです。
例えばフラット35での返済比率は次のように定められています。
ここでいう年収とは、手取りや「可処分所得」ではなく、税金などを含めた総支給額です。
年収500万円の場合、年間の返済額は上限が175万円。これを35年間返済するとして返済総額6125万円までは融資可能という計算になります。
え?そんなに?と思うかもしれませんが、あくまでも利息を含めた返済総額です。
では元本としていくら借りられるのでしょう。
実はここがポイントです。
この10年以上は超低金利の状態が続いていますが、住宅ローンの審査には「審査金利」を用いて計算します。
これは銀行によって違い、公開はされていません。おそらく年利3~4%程度の金利で計算しているものと言われています。
そうすると、上記の年収500万円の人の場合、利息を除いた借入額可能額はいくらになるでしょうか。
審査金利で計算すると、借入可能額は3767万円です。
そうなると、年収500万円の7.5倍程度が借り入れの上限の目安ということになります。
これがノウハウ本や住宅営業マンが言う「年収の何倍」という言い方の根拠になっています。
年収の何倍という言い方は、審査金利によって全く違ってくるので、なるべく忘れてください。
ちなみに、この返済比率には、現時点の借り入れの返済額も含めます。
自動車ローンやキャッシングの返済などがあれば、その年間返済額が返済比率に組み込まれます。自動車ローンは年間の返済額が大きいため、住宅ローンを借りる時には問題となります。
家を買う予定があるときは、自動車ローンは避けたほうが無難です。自動車ローンだけではなくショッピングローン全般に言えます。
返済比率を下げたい場合(住宅ローンを多く借りたい場合)は、夫婦で収入合算するという方法もあります。
これは配偶者も連帯債務者として、共同名義で家を買うということですが、デメリットも存在します。
収入合算のデメリットについてはまた違う記事で書きます。
最後に、銀行の審査に何らかの「ちから」が働いて多く借りられることはあるの?という疑問ですが、絶対にありません。
現代の金融機関はコンプライアンスの上で厳しい統治がなされています。
個人の信用情報を覆すような審査や、コネで審査のプロセスを捻じ曲げるなどの忖度はほぼ犯罪です。(某金融機関の不正融資のスキャンダルが報道されたことは記憶に新しいと思います。)
金融事故(返済の遅れ、自己破産、債務整理)があった場合は、借り入れ可能額が少なくなるか、一定期間借りられないと思って間違いないありません。