家を買う時に読むブログ

住宅購入に役立つお金のことを解説

50歳からの住宅購入は危険か?

今日の話題は、「50歳で新築の家を購入するのは危険ではないのか?」です。

 

 

昨今、住宅ローンは35年~40年と長期間に及ぶことから、新築の家を購入する「適齢期」は、20代後半~30代後半と考えられています。

 

例えば28歳で購入した場合、40年ローンを組んだとして完済するのは68歳。

65歳で定年退職と考えると、3年は引退後に残りますが退職金の一部を使えば支払うことができるでしょう。

 

しかし、28歳で住宅購入が出来る人ばかりではありません。

 

仕事によっては転勤があり、全国を頻繁に引っ越している時期かもしれません。

自営業・起業家の場合は駆け出しの年齢であるため、収入も社会的信用もまだ十分ではないこともありえます。

または諸事情により多重債務などの金融事故があり、信用情報に傷がついているケースもあるでしょう。

地方都市での住宅購入は考えていなく、都心でマンションを購入したいと計画している場合、平均的な28歳の年収では不可能でしょう。

 

50歳になって仕事での転居が落ち着いたり、十分な収入が得られるようになって、ようやくマイホームを検討する人も少なくはありません。

 

また、初婚年齢の平均が年ごとに上昇しているため、住宅購入を検討する年齢も次第に上昇しています。

(参考までに、男性の平均初婚年齢は2017年で31.1歳です。)

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想像する通り、50歳で住宅を購入するのは一定のリスクがあります。

 

①定年退職までの年数が10年~15年と短い

②退職金・貯蓄での繰り上げ返済を検討しなければならない

③健康状態によっては融資を断られる

④自己資金(頭金)を多く用意しなければならない

 

これをそれぞれ解説していきます。

 

①定年退職までの年数が短い

 

銀行によっては80歳までの年数で、返済期間を設定することが出来ます。しかし定年退職が65歳の場合は、引退から15年も毎月返済することになります。

公的年金だけでは生活もままならないのが現実ですので、年金からローンの返済をするのは無理です。

 

②退職金・貯蓄での繰り上げ返済を検討しなければならない

 

定年退職時に残っているローン債務を退職金で一括返済をすれば、引退後にローンの支払いはありません。しかし、それは現実的でしょうか。

 

退職金・貯蓄のほとんどを繰り上げ返済に使ってしまうと、老後の生活は貧しいものとなります。建物のメンテナンスや固定資産税、火災保険を支払うことさえ困難になります。

 

繰上げ返済のためには緻密な返済計画を練る必要があります。

 

③健康状態によっては融資を断られる

 

住宅ローンを借りるためには、団体信用生命保険という生命保険に加入することが条件になっています。

万が一亡くなったときには、生命保険会社より死亡保険金が銀行に支払われるため、遺族に借金が残らないという仕組みです。

 

基本的にこの団体信用生命保険に加入できなければ銀行は融資を断ります。健康であることが住宅ローンを借りられる条件になっているのです。

 

④自己資金(頭金)多く用意しなければならない

 

20代~30代であれば自己資金をほとんど用意しなくても購入することは出来ます。返済期間が長いため、より多い金額を融資してもらうことが出来るからです。

 

しかし50歳では返済期間が短くなることと、引退時の残債によっては生活に困窮する危険があるため、あまり大きい金額は借りられません。

 


  

このように、一定のリスクがあることを理解しておく必要があります。

 

こう考えていくと、「家を買わずに賃貸暮らしのままの方がいいのでは?」と思うかもしれません。しかしその場合もやはりリスクは存在します。

 

地方都市の場合、65歳以上の高齢者に部屋を貸したい大家はほとんどいないでしょう。少ない公的年金の中から家賃を払い続けることも現実的ではありません。保証人を探すことも困難を極めます。

 

家を買うのであれば、次のようなことを意識しましょう。

 

返済期間は80歳まで最大で設定する

 

定年退職までの年数で返済期間を設定したくなりますが、返済比率の問題から難しいと思われます。返済比率については別の記事で紹介しています。

 

nagaokafpoffice.hatenablog.com

 

いったん、最大の返済年数を設定し、定年退職時に一括返済する計画を立てます。

 

 

自己資金は必ず用意する(500万円~1500万円程度)

 

定年退職時に一括返済をするためにも借入額は少なくしておく必要があります。

そのため、可能な限り自己資金を用意した方がいいでしょう。

 

自己資金を用意できない場合は、三つ選択肢があります。

「値段の安い土地に、性能がいい家を建てる」

「立地を優先し、建物を安価にする」

「安価な建売住宅を買う」

 

それぞれはっきりとデメリットがあります。

安い土地を買ってしまうと、将来手放すことが困難になります。安い建物の場合、メンテナンス費用が高額になったり耐久性の低さに悩むことになります。

 

このあたりの判断はファイナンシャルプランナーに相談して決めることをお勧めします。

 

メンテナンス費用が少なくて済む建物にする

 

引退後に屋根外壁の塗り替えなどのメンテナンスがかかってくると、支払いが困難になります。大切な貯蓄をメンテナンスに奪われます。なるべくメンテナンス費用が少なくて済む建物を検討しましょう。

 

また、太陽光発電や全館空調などの高価なシステムは魅力的に感じますが、設備が増えるほど維持費もかかります。 東北地方の場合、FFストーブや灯油ボイラーなど維持費が少ない設備を検討することも必要です。

 

生命保険を見直し、大病の時に住宅ローンが完済されるようにする

 

50歳からは 大きな病気が心配です。病気で仕事を休み収入が減ることも考えられます。

例えばガンや心筋梗塞などの場合です。

 

大病をした時に、住宅ローンの残債を清算できるような保障額があったほうがいいでしょう。

団体信用生命保険でそのあたりを保障したり、自分の生命保険を見直して対策することは絶対に必要です。

 

退職時に一括返済をし、その後に必要な貯蓄が残るようにする

 

退職時に一括返済が出来ることが最優先です。

 

そのために、自己資金を多く用意することが大切ですし、一括返済してもその後の生活に困らない程度の貯蓄を持っておくことも重要です。

 

 

50歳からの住宅購入は緻密な返済計画を立案する必要があります。ぜひファイナンシャルプランナーに相談してください。

 

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