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20代に支持される概念「FIRE」とは?~労働から自由になる~

今日の話題は、いま流行の金融概念「FIRE」とはなにか?です。

 

20代の会社員を中心に、このFIREという言葉が使われることが増えています。

 

FIREとは何かというと、「Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)」という意味です。

 

読んでそのままの意味です。

40代には会社勤めを辞め、経済的なバックグラウンドを得て自由な人生を謳歌しましょうという、ライフスタイルのことと言えるでしょうか。

 

きっと、今の50代、60代の方もそういう考え方は聞いたことがあるでしょう。別に今に始まった理想ではありません。

 

私が思い出すのは、1987年の映画『ウォール街』のワンシーンです。

一攫千金を狙う投資銀行の若いセールスマン達が、熱気でギラギラしたオフィスで「35歳には引退だ」と言いながら、客への勧誘電話をかけまくるシーンです。

 

いかにも1980年代の雰囲気、価値観です。

 

あるいは、同じ時期から社会問題となっていたネットワークビジネスマルチ商法MLMとも言う)を思い出す人もいるかもしれません。

まさにFIREのようなことを、「成功者」を自称する妙な服装をした人物がセミナーで言うのです。「労働をせず権利的な収入を得て自由な人生を送ろう」というライフスタイルを描き、高級車や贅沢な海外旅行、派手なパーティ、サーフィンや音楽活動に打ち込む毎日・・・みたいな絵を見せつけます。無知な若者や主婦はウットリとその言葉に酔ってしまう。しかしその実態は、勧誘された人がまた自分と同じように無知な人を勧誘する連鎖を繰り返し、「成功」の条件として高額な商品を買い込ませ続けるという商法でした。

 

昨今のFIREはそのような価値観とは全く違うのです。

 

現代の10代、20代の若者は過剰な消費社会に懐疑的です。

〇〇離れという言葉に代表されるように、物質的な欲求を持つことに興味が薄いのが特徴です。高級輸入車を買って見せびらかしたり、服や靴などハイブランドのモノを手に入れることに軽蔑にも近い感情を持っています。

 

それはお金がないからではなく、本当に興味がないのです。

それに対して「草食だ」「夢がない」などとオジサンオバサン世代が揶揄するのも、ちょっと時代のギャップを感じます。

 

流行を作り出した末に毎年大量に焼却処分されるアパレル、低価格を実現するためにどこか知らない国の工場で行われる虐待労働、大量消費の代償として汚れていく環境、労働に縛られ過労の末に自死する若者、会社の出世競争と見苦しい嫉妬、そんな光景ばかり見てきたら、過剰な消費社会と労働優先の生活に興味などなくなるはずです。

消費社会のツケを払うのは自分たちの世代ですから当然です。

1980年代のような価値観で労働や金儲けを繰り返したら、地球も人間も壊れてしまうという危機感は中高年世代も否定できないでしょう。

消費が幸せを生むと信じることが出来たのはもう過去のものです。

 

FIREは、昔の価値観での贅沢をするために大金持ちになって早期退職をしたいわけではないのです。

 

FIREの概念は、「物質的に贅沢な生活」ではなく、「豊かな人生」を実現しようというものです。

 

・一定の資産を作って退職

・その資産を運用し

・運用益で収まる小さな生活をし

・自分が本当にしたい労働をしていく

 

そんな考え方です。

 

退職した後は悠々自適に裕福な生活をするというのではなく、自分が本当にやりたかった副業で少しの収入を得たり、社会貢献のために法人を組織したり、地方に引っ越し農業をするなどの実践を理想とします。

 

これは米国で始まったムーブメントで、現在世界的に広がりを見せています。

 

このFIREを実現するためには、まずいくらの資産を持って退職すべきでしょうか。

 

いくつかルールが提唱されています。

 

25倍ルール

 

これは、最低限の生活に必要な支出額×25倍の金額が貯まったら、退職できるというルールです。

 

最低限の生活費 年間300万円×25倍=7500万円です。

 

これを築くために大学を卒業したころから毎月多くの金額を投資に回していきます。7500万円を現金で積み上げるのは、高所得のサラリーマンか、大成功した副業でもなければ不可能ですので、資産運用が必要というわけです。

 

でも、25年しか生活費が用意されないの?と思うかもしれません。

 

しかしこの7500万円は投資のタネ銭です。ここから投資を続け毎年運用益を上げていくのです。7500万円を使って生活をしていくというわけではありません。

 

4%ルール

 

これは、退職時の資産の4%以内に毎月の生活費を押さえたら、資産の目減りをしない(または抑えられる)という考え方です。

 

7200万円×4%=300万円

 

つまり、退職時資産を年利4%以上で運用しましょうということです。

 

7200万円の資産があれば、年4%で運用するとちょうど300万円となりますね。

 

実際は、年間の運用はもっと低くても良く、その分を副業などの収入で補ってもいいわけです。

 

日本向けにルールを引き直すとしたら

 

年4%の運用ときくと、日本ではちょっと難しいように感じます。これは米国の株式市場などの環境で考えられたルールです。

資産運用だけで退職までの短い期間で7200万円を達成するのも困難でしょう。

 

日本でルールを引き直すとしたら、

 

・副業を持つ

・退職時の資産を25倍ルールで作る

・退職後は副業利益で4%分の所得(税引き後)を得る

・資産の運用は安全性を優先し、運用益に手を付けない

・副業などすべての労働から卒業するときに資産を使っていく

 

このようにするのが現実的かもしれません。

米国の市場に投資する方法もありますが、為替リスクは大きく存在するので米国市場に依存するのは危険です。

矛盾するようですが、日本ではまだリアルビジネスによる収入が堅いのです。リアルビジネスがメイン、投資がサブで考えましょう。

 

もちろん、FIREにこだわらず一生現役で働き続けるのも人生の選択です。

その場合も、生活費のためだけに死ぬまで働くという状況はなるべく避けたいものです。経済的自立とは、自ら働き方を選択することでもあります。

 

早期退職と資産形成、そして住宅ローンの完済と維持費の用意、自動車購入費用の用意、など、実際の計画には専門的なアドバイスが必要です。

 

ぜひ、当事務所に相談してください。

 

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