今日のテーマは、「年収250万円でマイホームを手に入れる方法」です。
2019年に厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」では、都道府県別の平均賃金の額を調べることが出来ます。
この統計結果より、上位3都道府県と、下位3都道府県をピックアップしてみました。
(平成30年度賃金構造基本統計調査 付表8 都道府県、性、主な産業別賃金及び産業計の年齢・勤続年数(3-1)より)
【トップ3】
1位・・・東京都 380万4000円
2位・・・神奈川県 339万1000円
3位・・・大阪府 329万1000円
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【下位3県】
45位・・・青森県 241万2000円
46位・・・秋田県 240万1000円
47位・・・宮崎県 235万1000円
この統計には、収入のない専業主婦や学生は含まれていません。5人以上を雇用する民営事業所、10人以上を雇用する公営事業所を調査した、「賃金を貰っている労働者の平均額」です。
雇用形態、勤続年数、学歴などを一つにまとめているため、フルタイムで働く人の平均年収よりも低く表れています。
青森県は45位です。あくまで平均とは言っても、年収250万円のフルタイム労働者は決して珍しくありません。
今日のテーマは、この平均年収である250万円の労働者が新築戸建て住宅を買う方法を考えてみたいと思います。
年収250万円の場合、手取り額はいくらかというと、約200万円です。
この年収の職業ではボーナスがないことがほとんどなので、単純に12カ月で割ると約16万6000円。
借りられる住宅ローンの金額は、1500~1800万円が限度かと思われます。
もし1800万円を借りたとします。金利1%、40年返済、当初元金据え置き期間6カ月とした場合、毎月の返済額は45982円です。
手取り月収が16万円6000円なので、ここから45,982円を払い、残りは約12万円。
12万円の中から、光熱費、食費、教育費、ガソリン代、携帯電話、各種保険を支払っていくことになります。その他に毎年の税金や車の整備費もかかります。
光熱費2万円
食費3万円
雑費1万円
教育費1万円
ガソリン代5000円
携帯電話1万円
生命保険1万円
自動車保険5000円
これで毎月の支出が10万円です。
12万円からこれを差し引いて、残りは2万円。これを貯めていきます。1年で24万円貯まります。
春先に自動車税12000円、固定資産税8万円、車の整備代2万円を支払えば、残りは12万8000円。
これを10年間続けると128万円貯まります。
ここから修学旅行費用10万円、進学時に用意する費用10万円、10年更新の火災保険30万円、車検代8万円×5回=40万円を差し引くと、残りは70万円。
10年間で70万円を貯めることが出来そうです。
上記の支出の中で、携帯電話はもっと安く出来そうなので、もう少し貯蓄は出来るかもしれません。
ただし、食費が3万円であるなど、あまりゆとりのある生活ではありません。
10年後に住宅の屋根と外壁の塗り替えや、エアコンなどの交換があることを考えれば貯蓄は全く足りていません。大学進学時に奨学金を借りるとしても、初期費用はかかります。その貯蓄も足りないでしょう。
その場合、配偶者が毎月5万円のパート労働をし、毎月25000円の貯金ができたら、10年で300万円分貯蓄を上乗せできます。
10年後に370万円があったら、何とかなるかもしれません。
370万円から屋根外壁のメンテナンス費用として100万円、エアコン交換費用10万円、給湯器交換費用30万円、中古自動車購入30万円を差し引くと200万円が残ります。
これを30年間繰り返すと、600万円の貯蓄が残ることになります。
このように、机上の計算では年収250万円+パート年収60万円でも、生活は成り立ちます。
大切なのはやはり支出を限界まで抑えることです。
では、肝心の1800万円で買える住宅についてです。
新築住宅という条件は必須です。中古住宅をリノベーションしたものが売られていますが、築30年ほど経過した物件はいくら綺麗にしても建築基準法的に過去の水準の性能です。断熱、気密が悪く光熱費を抑えることができませんし、近い将来解体になるでしょう。一生住み続けられるものではないはずです。
1800万円で買える新築住宅の費用の内訳は
建物本体 1200万円
土地 200万円
諸費用 400万円
という感じでしょうか。
おそらく建物の大きさは20~24坪程度の二階建てです。
土地の安さは、地方ならではのメリットです。それでもだいぶ郊外にはなるでしょうが、探せば見つかります。(あまり郊外に行き過ぎると、通勤のためのガソリン代がかかるので注意です。)
諸費用を抑えるために、外構工事はほとんどお金をかけられません。キッチンやお風呂なども工務店が建材メーカーと一括契約した標準仕様のものから変えられません。今流行りの全館空調や太陽光発電など、維持費がかかるものは全て却下です。建物が小さいため、そして新築住宅であれば気密断熱性能は高いため、小さなエアコンで十分かと思います。
最近は、工務店によっては狭小住宅でも設計のセンスの良さで心地よくすることは可能です。
優先順位を決めて、欠かせないもの、切り捨てられるものを仕分けることが重要です。
日本の家屋が解体されるまでの平均は約31年と言われています。しかし、10年ごとのメンテナンスを欠かさないことで、少しでも延命することは出来るのではないでしょうか。
地球温暖感化などの影響で北国でもシロアリの被害が増えています。防蟻処理をケチらないことも延命につながります。
このように、年収250万円+60万円の夫婦でも、新築住宅を買うことは不可能ではなさそうです。
繰り返しますが、いくらお洒落に見えても築年数がかなり経過した中古住宅や、いくら安くても品質の低い建売住宅を買うことは避けたほうがいいと思います。老後まで建て替え無し住み続けられなければ、家を買うそもそもの意味がありません。
年収が低い家庭ほど、老後の住まいに危機感を持つべきです。住まいを確保できているという安心感は何物にも代えがたいものです。
ぜひ当事務所のライフプラン相談会をご利用ください。