こんにちは。
住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
今日のテーマは
「住宅購入の適齢期はいつですか?」
です。
何歳の時に家を買うのが一番安全なのか?という質問です。
結論から言うと、人それぞれ、です。
その家庭の年齢構成、夫婦の年齢差、子供の人数と年齢、子供の健康状態(心身ともに)、夫婦の健康状態、年収、退職金の予定額、などによって、家を安全に買える適齢期は違ってきます。
今日の記事では、適齢期を計るいくつかの基準について説明していきます。
定年退職の年齢
多くの人が基準にしているのがここです。
現在30歳だとして、40年返済の住宅ローンを借りると、完済時は70歳です。定年退職が65歳だとしたら、退職後5年間も返済が続くことになります。
老齢年金から支払うことは非現実的なので、定年退職時までに貯蓄を用意して繰り上げ返済をする計画が必要になります。
こう考えると、返済期間は定年退職時に合わせたほうがいいのでは?と思いがちです。しかし返済期間が短くなると、毎月の返済額も大きくなり、それも現実的ではなくなってしまいます。
返済負担率の問題があるので、年収によっては40年返済でしか借りられません。
(返済負担率:年収に対する年間の返済額の割合の上限が決められていて、それを超える融資額はNGとされる)
予算を抑えて返済期間を短く設定するか、予算を抑えて貯蓄が出来る余裕を持つか、もしくは収入を増やす手段があればそれが一番でしょう。
定年退職を考えたら、購入時期は今すぐということになります。
夫婦の年齢差
例えば夫40歳、妻25歳という夫婦の場合、返済期間をどちらの定年退職に合わせて考えるかという問題があります。
返済期間を40年間とすると、完済時は妻はちょうど定年退職する65歳ですが、この時夫は80歳です。夫が老齢年金だけの収入になった後で、妻が主に返済を支えることになります。
または、夫の定年退職時に合わせた期間でローンを借りるか、定年退職時までに貯蓄を作り大部分を繰り上げ返済するか、です。
現時点で妻がパート勤務や専業主婦である場合は、夫に潤沢な年収と貯蓄があることが必要です。もしそうでなければ、夫婦で話し合い、家を予算を下げるか、妻が正社員として就職するか、夫の定年退職時にキャッシュで買うか、などの選択肢を検討することになります。
年齢がある夫婦の場合、適齢期は専門家に相談して慎重に計ってください。
子供の年齢
子供の年齢が7歳~15歳(義務教育期間)である場合、学区変更を伴う住宅の購入は避けたいものです。
これから高校進学、大学進学と教育費が増えていく時期でもあり、住宅購入なんて非現実的だと考えている家庭も多いでしょう。
しかし義務教育機関の子供がいる親の年齢は、30歳前後~40歳前後が多いと思います。定年退職の年齢を考えれば、この時期に購入せざるを得ません。
教育費を優先してこの時期には購入しないという決断もあり得ますが、40歳代後半以降に住宅購入をするためには、現金での貯蓄が重要になっていきます。教育費だけではなく住宅購入用の貯蓄も同時進行しなければなりません。それが可能な年収であれば、あとからではなく、今購入した方がいいことが多いのです。
夫婦の年収
夫婦合わせての年収(世帯年収)が低い場合(地方都市で400万円以下)、なるべく長い返済期間の住宅ローンにすることが重要です。教育費やメンテナンス費用も捻出していく必要があるので、
・毎月の返済額を安くする
・現金での貯蓄を毎月する
・太陽光発電など設備が多い住宅は買わない
・安易に安い分譲住宅に手を出さない
などに気を付けましょう。
今後大きな昇給が見込めない場合、30歳前後までに購入することが理想です。30歳を超えている場合は、
・自己資金(貯蓄)を貯める
・安い土地にして総予算を下げる
・あえてローコスト住宅は避ける
などの工夫をしていく必要があります。
残念ながら年収が低い世帯はファイナンシャルプランナーに相談するケースがほとんどありません。予算の安さや値引き、太陽光発電で売電、など目先の損得に目が行ってしまい、総合的にはむしろ危険な判断をしていることが多く見られます。
決断を急がずに住宅専門のファイナンシャルプランナーに相談してください。
子供の健康状態
強いストレスを感じる現代社会で、メンタル疾患を抱える子供たちが増えています。高校に進学しなかったり中退するケースも珍しくありません。
親としてはなるべくリラックスできる生活環境を用意してあげたいものです。そのためには新築の家が必要!と考えがちですが、少し冷静になることをお勧めしています。
子供の健康状態によっては数年で復帰できないことがあります。慌てる必要はありませんが、支えるためにはお金が必要です。就業する訓練や時期を遅らせた進学など、沢山の支えが必要になります。
将来的にも子供に多くの資産を残したいと思うでしょう。
家を買う時期は子供の健康状態を観察しながら、ゆっくりで大丈夫です。
この場合、購入する家は、子供が一生住める建物であるべきです。将来、子供が無理に高収入を得なくても生きていけるように、維持費のかからない丈夫な家を残したいものえす。
減税、ウッドショック、地価の上昇
住宅ローン減税や、建材価格の高騰、土地の値段の上昇や物件の減少、などを理由に決断を急ぐ住宅営業マンは沢山います。
結論から言うと、これだけの理由で購入を急ぐことはありません。
住宅ローン減税は内容を変えながら10年以上も延長を繰り返している制度です。時々大きな制度変更があり、慌てて契約したものの制度変更した後の方が有利だったというケースもありました。
特に平成26年には一気に拡充され、その前に慌てて住宅購入をした人の中には「煽られてしまい失敗した」という気分が残りました。特に高額の住宅を購入する人は、制度変更してからの方がお得でした。
この制度は常に延長を繰り返していて、2021年に再延長された期間が終了した後の減税の在り方も、すでに議論されている状態です。おそらく当然のように延長していくでしょう。FP的には、住宅ローン減税を急ぐ理由にしてはいけないと考えています。
ただし、現在の減税制度は「借り入れを多くするほど高所得者が得をする」という制度上の問題(いわゆる逆ザヤ問題)が指摘されています。この辺りは変更されることになる見通しです。
また、建材価格の上昇や地価の上昇という問題も確かにありますが、やはりそれだけでは急ぐ理由にはなりません。
例えば3000万円の在来工法の建物の場合、構造用の木材の値段はおよそ300万円程度です。(10%~15%が目安。ツーバイフォーは在来工法より割合が大きくなります)
これが50%値上げしたとしても450万円となるので、トータルで150万円の施工価格の上昇ということです。
ただし無垢床なども木材なので、こちらを含めるともう少し上昇します。
多くの住宅メーカーではこの上昇分を、工夫を凝らして圧縮していくと思われます。
3000万円の家が、4500万円になるイメージがありますが実際は違い、施工価格全体と比べるとさほど大きな上昇にはなりません。
マスコミは煽り立てるような記事を書きますが、冷静になりましょう。
他にも購入時期を計る指標は沢山ありますが、どれも参考程度にしかなりません。
家計を専門的に計算してみないと判断はつかないはずです。
ぜひライフプラン相談会を利用してください。