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住宅購入に役立つお金のことを解説

資産運用をしながら住宅ローンの返済をするときのリスク

こんにちは。

 

住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。

 

今日のテーマは

 

資産運用をしながら住宅ローンを返済するときのリスクについて

 

です。

 

 

どういうことかというと、例えば現在1000万円の預貯金を持っているとして

 

①繰り上げ返済として一括返済するか

②資産運用をしながら取り崩していくか

 

ふたつについて悩むと思います。

 

特に退職金としてまとまった現金が入り、住宅ローンの元金の残高も1000万円残っている場合にこのような疑問にぶつかります。

 

繰上げ返済をした場合は、利息の節約になり確実な「効果」が見込めます。

 

しかし、最近の株価の好調さを見ていると、手持ちの1000万円を資産運用をしつつ取り崩して支払いをしたほうが、繰上げ返済よりも「効果」があるのではないかと考えがちです。

 

そこで、定年退職後にローンの返済期間が10年、元金の残高が1000万円、毎年100万円の返済をしているとして、弊社でシミュレーションをしてみました。

 

運用期間中の利回りについて、2つのパターンを検討してみました。

 

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毎年の運用利回りの成績が変更するものとして計算しています。

 

どちらも10年間の平均利回りは4.2%です。10年間で4.2%のパフォーマンスを出すポートフォリオは決して非現実的ではないと思います。

しかし、10年間の各年度の利回りは大きく変動するとして、

①は最高15%、最低▲10%としています。1年目から10年目にかけて下降するパターンです。

②は①と同じ利回りですが、逆に1年目から10年目に上昇するパターン。

 

繰り返しますが、どちらも10年間の運用利回りは4.2%です。

 

毎年年始に1年分の住宅ローン返済額として100万円を取り崩し、残りをまた1年間運用するものとします。

 

黄色いマーカーを引いたところを見てください。

 

同じ運用利回りなのに、①は10年後に505万円が残る計算になります。

住宅ローンの返済は毎年100万円なので、10年間で1000万円を支払ったあとでも505万円が残るということです。

 

繰上げ返済よりもはるかに運用効果が出ました。

 

一方、②はどうでしょうか。

 

同じ利回りのはずなのに、残るのは136万円。

金利によっては繰上げ返済と同程度の効果しか見込めないことになります。

10年目の運用利回りが15%でなければ、この136万円も見込めません。

 

10年間の運用利回りが4.2%だとしても、各年度の運用成績の「配列」次第では結果が大きく異なるのです。

資産残高が大きいときに大きな利回りを出せれば収益も大きくなりますし、その逆は少なくなるということです。

 

これを「収益率配列のリスク」と呼びます。

 

運用しながら取り崩して返済する、というのは確実にリスクがある行為です。

 

住宅ローンの返済だけではなく、リタイア後の生活費として取り崩す場合も同じです。定額引き出しの投資信託のような商品では、元本を大きく欠損させるリスクがあります。

 

定年退職時の預貯金と退職金の使い方は、専門家に相談して冷静に判断してください。

 

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