こんにちは。
住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
今日のテーマは
自己資金を入れるか、住宅ローン控除を受けるか、どちらが得?
です。
これは割と多くの人が迷うポイントです。
自己資金(頭金)を入れて借入額を下げ、利息を節約する
自己資金を入れず住宅ローン控除を13年間受け取る
このどちらが得なのか迷うわけです。
住宅販売の現場では「自己資金を入れずにローン控除を使った方が得!」という意見を聞くことがあります
自己資金(貯蓄)がない客にも今すぐ契約をさせる口実に使われやすいトークです。
それってほんと?と疑問に感じませんか。
そこで弊社で本当にそうなのか計算してみました。
結論から言います。
自己資金を入れる方が得であるケースが多い。
住宅ローン控除の方がいいケースはごくわずかです。
今すぐ買うのではなく、自己資金を貯めるのが優先です。
それを説明していきます。
まずシミュレーションの前提は以下のように設定しました。
【建物価格】2500万円
【土地価格】1000万円
【諸費用】500万円
【総額】4000万円
【金利】0.65%(元利均等返済)
【返済期間】40年
【住宅ローン控除期間】13年間
【予定している自己資金】500万円
【契約の種類】工事請負契約(注文住宅)
【所有権】単独所有
【扶養家族】2人
【年齢】35歳
【注意事項】つなぎ融資期間や元金据え置き期間は考慮しないものとする。すまい給付金は考慮しない。
地方都市では一般的な契約金額のサイズだと思います。
次に、4000万円(フルローン)を借りた場合、住宅ローン控除はいくらになるか年収ごとにまとめました。
ここで分かるのは、年収350万円~500万円であれば、3500万円を借りても4000万円を借りても、控除額合計は同じだということです。
年収によっては、自己資金を入れても入れなくても控除額に影響がないことが分かります。
そして、年収800万円~1000万円を見てください。3500万円借入と4000万円借入では控除総額には差があるものの、その差は年収が上がっても43万8000円で同じです。
次に、3500万円借入と、4000万円借入のそれぞれの利息を計算してみます。
0.41%で借り入れした場合、自己資金500万円を入れる・入れないで42万2055円の利息が差が生まれます。
ここで控除額の比較表に戻ります。年収800万円以上の場合自己資金を入れないことで43万8400円の差が生まれるということですので、次のことが言えることになります。
年収800万円以上の人が、自己資金500万円を入れず、0.41%で借り入れた場合、1万6345円得をする。
たった2万円弱の差しか生まれませんでした。
年収800万円以下であったり、金利が0.41%を超えると住宅ローン控除よりも自己資金を入れたほうが得になります。
もっとも、扶養家族がいなかったり、借入額が年末残高上限の5000万円であったりするとまた計算は変わってきます。会社員と自営業者でも異なってきます。
これは40年返済でのシミュレーションですので、35年返済ではまた変わります。
どちらが得かは個別のシミュレーションをしてみないと分かりません。
しかしどうやら多くの場合は、フルローンの方が得とは言い切れないようです。
一方で、違う見方も出来ます。
自己資金を入れるのが得だとしても、手持ちの現金がなくなり自動車ローンを借りたら全く意味がない、ということです。
自動車ローンは、特にディーラーローンは金利4~8%と非常に高いのが特徴です。最近流行りの残価設定ローンではさらに利息は膨らみます。
自己資金をいくら入れるべきかは、ライフプランを非常に緻密に計算しないと判断できません。
この記事では、自己資金を入れない(フルローン)=貯蓄がない、という意味でしたが、貯蓄がありながら自己資金を入れず住宅ローン控除期間が終わってから繰り上げ返済をする場合、この記事の計算とは少し違ってきます。
ご自身の返済プランについては、住宅専門のファイナンシャルプランナーに相談してください。