今日のテーマは、
住宅ローン控除は、単独債務よりも連帯債務の方が減税額が大きいのは本当か?
です。
家を買う時、一般的にはその世帯で一番収入が高い人(世帯主であることが多い)が、ひとりで銀行から住宅ローンを借ります。
世帯主が1人でローンを借りているので、住宅ローン控除も世帯主の収入だけに適用されます。
現在の住宅ローン控除の制度は「税額控除」(税金が直接安くなり還付される)なので、払った税金の範囲内でしか戻らない、という仕組みです。
払った税金の範囲内でしか戻らないのであれば、収入の低い人や扶養家族が多く所得税額が低い人はこの制度を活用しきれないということになります。
そこで、一部のファイナンシャルプランナーや住宅営業マンが言います。
「夫婦の連帯債務で借入をした方が税金の還付額が多くなりますよ」
連帯債務とは、夫が主債務者、妻が連帯債務者になってローンを借りるということです。夫婦どちらも返済義務を負うことになります。
このメリットはどちらも住宅ローン控除の制度が利用できるということです。もちろん連帯債務者になれるということは妻にも一定の年収があり所得税と住民税を納めているということです。妻が納めた税金からも還付を受けることが出来ます。
つまり、連帯債務で住宅ローンを借りたほうが税金面でお得!という理屈になるのですが、それは本当なのでしょうか。
相談者の方からも、他のファイナンシャルプランナーからそう教えられたのが腑に落ちないので計算してほしいというご依頼が多々あります。ファイナンシャルプランナーが計算もしないでそう言うのですが・・・とみなさんが言うので、弊社で具体的に計算してしました。
結論から言います。
お得と言えるほど変わらない。です。
弊社で次のような計算をしてみました。
【前提条件】
夫の年収 600万円
妻の年収 600万円
年収は13年間一定であるものとする
それぞれの所得税額 292,030円
それぞれの課税所得 2,902,300円
社会保険料は9.87%で計算
配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除は考慮しない
住宅ローンの借入額 4000万円
連帯債務の場合の借入比率 50%(2000万円ずつ)
まずは世帯主が単独債務で4000万円を借りた場合です。
13年間で還付される所得税と減税される住民税の総額は、4,227,493円です。
次に連帯債務でそれぞれが2000万円の持ち分で借りた場合です。
それぞれ1人分で、2,113,746円です。
2人を合わせると4,227,492円です。
ほぼ同じです。
単独債務、連帯債務の差は1円です。
端数の処理による誤差なので、実際は全く同じと言って構いません。この表は扶養控除などを考慮していないので、子供の年齢によってもう少し差があるかもしれません。
これはあくまでも夫婦二人の年収が同じで昇給なし、持ち分が50%ずつという計算での結果です。
夫の年収が高く、妻の年収がその半分程度である場合、持ち分が50%ずつであれば連帯債務の方が還付額が少なくなります。しかもそれは毎年年収が違えば結果も変わってしまいます。子供の年齢によって扶養控除が変わるので、それでも影響を受けるでしょう。
制度の特徴から、「年収と昇給予定と子供の年齢と持ち分の割合」の組み合わせで、単独債務か連帯債務かを比較検討する必要があります。
これは自分で計算するのは極めて困難です。ファイナンシャルプランナーも年度ごとに正確に試算できる人は限られているでしょう。
住宅ローン減税のシミュレーションは、弊社のライフプラン相談会にてご依頼ください。
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