今日のテーマは
奨学金の返済が滞ると住宅ローンは借りられない
です。
経済的な理由で進学が難しいが成績が優秀な学生に対して、学費を支援してくれる制度がご存じ奨学金制度です。進学をすることで十分な収入が得られる職業に就くことが出来るので、そこから毎月返済してくださいというのが本来の趣旨です。
優秀な学生の才能とチャンスを摘み取らないように、国が支援してくれる素晴らしい制度なのです。
生命保険文化センターの調べによると、昼間部の大学生のうち47.5%が奨学金を借りています。これを多いと感じるでしょうか。意外と少ないと感じるでしょうか。
最近、学校を卒業したあと返済が滞ってしまう人が多く話題となっています。理由としては経済環境の変化もあるでしょうし、奨学金制度への理解が特に親世代に不足しているということもあるかもしれません。
経済環境や社会構造の変化によって、大学を卒業したというだけではいい収入を得ることは出来ません。
奨学金は本来、自分の将来へのリスクテイクとしての借金です。そのリスクをテコにして収益をあげなければならない「株式会社じぶん」なのです。しかし将来のライフプランを検討することなく安易に借金をしてしまえば、十分な収入がなく負債だけが残り「株式会社じぶん」はあっけなく倒産してしまいます。
将来のリターンを見込めないのであれば、奨学金というリスクを取らない判断も必要です。
ともかく、この奨学金の返済が遅れてしまうことによって、将来住宅を購入するときに思わぬ障害となってしまいます。
奨学金の返済の遅れは、個人信用情報に登録されてしまうのです。
かつては奨学金は金融機関からの借金とは区別され、個人信用情報に登録されることはありませんでした。現在も借りている事実は登録されていませんが、3か月以上滞納した場合に限り、滞納した事実を登録するという手続きが2008年から始まりました。
日本学生支援機構のホームページはこのように説明されています。
個人信用情報とは、金融機関との取引の履歴が登録される制度です。この情報を管理している機関はCIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)があります。
どこからいくら借りているか、返済に遅れはないか、どこに審査をかけたことがあるか、どの金融機関が個人信用情報を閲覧したか、などが記録されています。
ここに返済が遅れた事実が登録されてしまうと、一定期間消えずに残ってしまいます。そうなると、自動車ローンや住宅ローンは借りることは難しくなるのです。また、ネット社会では欠かせないクレジットカードも作れず、不便を感じることになります。
誤解がないように言うと、奨学金を借りている事実は登録されていません。いくら借りていても住宅ローンの審査の時には銀行は分かりません。返済が遅れてはじめて登録されるのです。
この情報は一定の期間が過ぎると消えていきます。
しかし「滞納の状態が解消してから1年~5年」とかなりの長期間です。この期間はどこの金融機関も融資を断ります。当然ながら奨学金の返済を滞納中であれば絶対に無理です。
奨学金の返済が出来ない状態で住宅を買おうとは思わないものですが、「奨学金は借金ではないので放置する」と考えている人も中にはいます。奨学金は別腹になっていると、いざ住宅ローンの審査で厳しい現実を知ることになります。
もし滞納中であれば何が何でも滞納を解消しておきましょう。1年から5年程度時間を置いて、住宅購入の計画を立てることになります。