こんにちは。
住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
今日のテーマは
日本国籍のない人が住宅ローンを借りることは出来る?
です。
年々増加している在留外国人。
日本社会に定着し長く生活していくと、持ち家が欲しくなる人も多いでしょう。日本人同様、住宅ローンを借りて住宅を購入することになりますが、日本国籍のない外国人は融資を受けることは可能なのでしょうか。
この記事では、在留外国人が住宅ローンの融資を受けられるかについて書いていきます。
在留外国人とは?
出入国在留管理庁が発表する資料によると、令和2年6月末での在留外国人は約288万人いるとされています。国籍ごとの内訳で上位5ヵ国とその人数は、
中国 786,830人
韓国 435,459人
ベトナム 420,415人
フィリピン 282,023人
ブラジル 211,178人
です。
そもそも、在留とはなんでしょうか。
分かりやすく言うと、観光ではなく、目的を持って外国人が日本に住むことを言います。
この在留資格には、大きく分けて3種類あります。
地位等類型資格として「永住者」「特別永住者」「定住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」があります。
活動類型資格として「外交」「技能実習」「経営管理」「技術・人文知識・国際業務」「留学」などがあります。
これらに当てはまる場合、日本に在留することができるのです。
永住者となるためには、10年以上在留していて独立した生計を持つこと、交通違反を含む犯罪歴・違反歴がないことなど厳しい条件があり、簡単に資格が得られるわけではありません。
在留するためには在留カードが必要です。
在留カードとは中長期間、日本に在留する人に交付されるカードです。常に携帯する義務があります。(特別永住者は在留カードではなく特別永住者証明書となるため、携帯の義務はありません)
細かい点を補足すると・・・
特別永住者とは、第二次世界大戦のあとサンフランシスコ講和条約によって日本国籍から離脱した韓国・朝鮮、台湾の国籍の外国人とその子孫のことです。
定住者とは、日系ブラジル人、日系ペルー人、日系フィリピン人など、かつて移民として外国に渡った人たちの子孫の在留資格です。就労に制限がなく、愛知県や岐阜県、三重県、静岡県などの大きな工場で就労している人たちが多くいます。
在留外国人の上位5カ国を見ると、このような背景があることが分かります。
在留している外国人にも例外があります。在日米軍です。
在日米軍で働く軍人とその家族は日米地位協定(SOFA)により、通常の外国人のように在留資格を持たない定めとなっています。
しかし軍籍を離脱して日本に在留しようとする時は30日以内に在留資格認定の申請をする必要があります。
288万人の在留外国人のうち、永住者と特別永住者は約111万人です。
永住権を持つということはこれからも日本国内で生活していくということなので、当然住宅を購入したい人が沢山います。
日本国籍のない方が、日本の金融機関から住宅ローンを借りることは可能なのでしょうか?
在留外国人は住宅ローンを借りられるのか?
永住者と特別永住者には貸してくれる銀行がほとんど
永住者および特別永住者は、自身が主債務者になることはもちろん、連帯債務者になることも出来ます。
もちろん通常の個人信用情報や勤務状況などによる審査はあるので必ず借りられるとは限りませんが、日本国籍の人と特に差はなく手続きできます。もちろん金利や団信の保障内容に差はありません。日本国籍がないことを持って融資審査で差別的な扱いを受けることはありません。
永住者、特別永住者が住宅ローンを借りようとするときは、在留カードや特別永住者証明書の提出を求められます。この在留カード・特別永住者証明書の有無も融資の条件となっています。
(もちろん在留カードなどがなく永住権がないことが発覚した場合には、一括返済を求められます。)
永住資格がない場合は?
問題は永住資格がない人が住宅ローンを借りる場合です。
永住資格がないと大多数の金融機関は住宅ローンを貸してくれません。しかし、中には永住権のない人向けの住宅ローンを用意している金融機関も僅かながらあります。
ここでは金融機関をいくつか紹介していきます。
それぞれ融資の条件が大きく異なるので注意が必要です。
共通するのは永住権がなくとも在留カードを持っていることです。
在日米軍の軍籍の人は在留カードを持たない(在留資格がない)ため、住宅ローンの融資は不可能です。
ではSOFAの方が日本国籍あるいは永住権がある配偶者の名義で借りるのは可能でしょうか。
配偶者に在留資格がない場合は日本国籍(あるいは永住者)の配偶者の住宅ローンも同じ取り扱いとしている金融機関が多く、個別に確認する必要があります。
ここからいくつか金融機関とその条件を紹介します。
永住権のない外国人向けの住宅ローンの商品がある金融機関
中國銀行(BANK OF CHINA)
中國銀行は北京市に本店を置く、中国第三の商業銀行です。清朝の時代に設立された歴史ある銀行です。
日本国籍あるいは中國国籍の人向けの住宅ローンがあります。中国国籍の場合、合法な在日居留資格を有することが条件です。
返済期間は20年です。
返済期間が短いという条件がハードルかもしれません。
住宅ローン(永住権のない外国籍の方専用)|あすか信用組合 ***Asuka Shinkumi Bank***
あすか信用組合は在日韓国人の相互扶助を目的として設立された金融機関です。(本店営業部は東京都新宿区)
こちらにも永住権のない外国人向けの住宅ローンが用意されています。
返済期間は最長35年、金利は変動金利1.25%です。団信もガンや三大疾病に対応しているなど日本人向けと遜色ありません。ここはぜひ押さえておきたい金融機関です。
https://www.aeonbank.co.jp/products_list/pdf/without_permanent_residency.pdf
イオン銀行にも永住権のない外国人向けの住宅ローンがあります。
しかし、返済期間は15年と極めて短くなっています。金利は店頭表示の変動金利に1%を加えたもの、とされているため、通常よりも高めに設定されています。
15年返済で審査をされると、返済負担率の問題もあり高額な融資は受けられません。どちらかというと返済負担率が問題とならず、15年返済のプランでも無理のない高所得者向けか、自己資金が豊富にある人向けと言えるかもしれません。
一般的な会社員にはあまり現実的ではありません。
新生銀行も永住権のない外国人も申込をすることが出来ます。あすか信用組合やイオン銀行のように単独の商品はありませんが、申し込みが出来る条件を幅広くしているのが特徴です。
永住権がない外国籍の場合、日本国籍の配偶者か永住権を持つ配偶者を連帯保証人にすること、という条件です。
連帯保証人と聞くとびっくりするかもしれませんが、通常の住宅ローンでも夫婦で収入合算をした場合は配偶者が連帯保証人となります。
株式会社セゾンファンデックス
こちらも永住権なしで申し込みが出来る住宅ローンです。
セゾンファンデックスはノンバンク(貸出しか行わない金融機関)です。銀行やフラット35が融資できない築古物件や借地権付き建物にも融資してもらえる可能性が高いことで有名です。
担保価値を重視した独自審査がセールスポイントで、永住権なしの外国籍の人でも融資を受けるチャンスがあります。
ただし、返済期間は30年が上限。金利は変動金利で3.65~4.45%(2021年4月1日現在)と極めて高くなっています。
東京スター銀行は、台湾のメガバンク「中國信託商業銀行」の子会社です。本店は東京都港区です。日本では2001年に設立された新しい銀行です。
リバースモーゲージの先駆的な銀行でも知られています。
台湾系であることからも永住権がない外国籍の人が申込できます。
返済期間は35年。特徴としては、配偶者がいる場合に必ず連帯保証人にする部分です。
また、日本語での読み書きの意思疎通が出来ることも条件となっています。
プレスティア(SMBC信託銀行)
外国籍を保有している場合の主な借入れ条件を教えてください。 | よくあるご質問|SMBC信託銀行プレスティア
プレスティアSMBC信託銀行は、その名の通り、信託業務を行う銀行です。プライベートバンキングのような富裕層向けのサービスが充実していることが特徴です。
こちらでも住宅ローンを扱っていて、永住権がなくとも申し込みが可能です。大きな特徴は日本語での意思疎通は条件となっておらず、日本語または英語となっているところ。契約書類も英語を選択できます。
返済期間は35年。物件の所在地などによる担保評価で融資額が決まります。担保評価額100%が融資額の上限となります。
保証料がゼロであったり、金利面もかなり安いことから魅力的ですが、ご想像の通り富裕層向けであるため審査は厳しくなるものと思われます。プレスティアゴールドと呼ばれる「預入総額1000万円以上」の顧客にのみ金利優遇をするなど、大きな特徴があります。
主な金融機関を紹介しました。
注文住宅を購入するときに必須の「つなぎ融資」や「元金据え置き返済」などは考慮していませんのでご注意ください。
いずれも自己資金の額によって審査の可否が左右されるのは予想がつきます。永住権がない場合、金融機関や保証会社にとってはリスクの高い融資となるため、借り手がアピール出来る要素を積極的に見せるべきでしょう。
担保価値も検討されるため、のどかな郊外ではなく地価の高い市街地かつ高品質の建物を優先するといいと思われます。
外国籍の方の住宅ローンはファイナンシャルプランナーと住宅営業マンが協力をしてご提案していく必要があります。
この部分は取り扱いをした経験の有無が重要です。
この記事では紹介しなかったノウハウもいくつかあります。
ぜひ当社またはお近くのファイナンシャルプランナーにご相談ください。