家を買う時に読むブログ

住宅購入に役立つお金のことを解説

家庭内で貧困になっている人がいませんか?→実は妻と子供が貧乏をしているかも

今日の記事のテーマは、

家庭内で貧富の格差が生まれていないか?です。

 

いつもと違い数字を多用しない記事なので、気楽に読んでください。

 

 

弊社でライフプラン相談会をすると、その家庭の収入と支出の構造を全て開示していただくことになります。

年収がいくら、納税額はいくら、借金はいくら、教育費はいくら、というように各項目の「数字」を把握させていただき、FPが家計の将来図を試算していきます。

 

そうすると、一見、もっともらしい表が出来上がります。

 

世帯年収はいくらで、支出はいくら、将来の金融資産(貯蓄)はいくら、というように机上の数字が目に見えるわけです。これをキャッシュフローと呼びます。これを元にFPはいろいろなアドバイスをしていくわけですが・・・

 

実は弊社では、このキャッシュフロー表はさほど大きな意味を持たないと考えています。

もちろん将来の収支を推測するにはいい手法です。相談を受ける人も分かりやすい話になるでしょう。

 

しかし弊社としては、このキャッシュフロー表になんだかモヤっとするものを感じてしまいます。

それはなぜか。

 

家庭内で貧困格差があるからです。

 

ライフプラン相談会を繰り返しているうちにこのような傾向があることが分かりました。

 

・高所得「世帯」は、妻と子は貧困であるケースが多い

・所得の低い「世帯」は、夫が貧困であるケースが多い

 

例えば、高所得の夫(年収1000万円前後)の場合、妻は専業主婦かパート勤務であることが多いでしょう。その場合、夫は妻にすべての収入を渡さず(開示せず)、毎月一定額を手渡しているケースが見られます。毎月25万円などという一定額を渡し、それで家計のやりくりを「任せている」のです。

 

これは日本の世帯で伝統的に多いスタイルです。

 

しかし、これはもう時代遅れかもしれません。

家庭内資源配分と呼ばれるのですが、家庭の中で収入や貯蓄という資産がフェアに分けられていない状態です。

夫は収入の半分以上を自由に使うことが出来るものの、妻と子供の実際の月収は25万円でしかありません。ここから食費や保険料、ガソリン代、学費、住宅ローンなどを支払うと貯蓄することは難しいでしょう。

 

これに対して夫は反論すると思います。

「僕が貯蓄や資産運用を担当している。妻と子は養われているのだから、大きなお金を渡すのはおかしい。」

 

これは伝統的な日本人男性の発想です。妻と子供もまた、「お父さんが頑張って働いているのだから。」とその状態を受け入れています。

 

弊社のライフプラン相談会では、この価値観を持っている世帯は少なくないことが分かっています。

この状態(家庭内資源配分が均等でない)で、世帯年収から世帯支出を差し引いたキャッシュフロー表を作っても、実は全く意味がないと思うのです。

我が家という構成単位は、どこにも存在しないのです。

 

家族を分解して、1人1人の人生とお金の在り方を計算すべきなのです。

 

この例で言うと、妻の生活は貧困とまではいかないものの、機会がかなり奪われている状態でしょう。

子育てがあるので就労できず、自分の貯蓄を持つことが出来ません。就労できないといいうことは、社会的な体験への機会も制限されるということです。友人との交際も我慢することになります。言い方は悪いかもしれませんが、夫の所有物になっているようにすら感じます。

 

家づくりをする時でも、妻が自分の居室を作らないことがほとんどです。

自宅の中で自分のプライバシーを保てる部屋を作らないのは、やはり家庭内での貧困の一つとも言えます。

 

逆に所得の低い家庭はどうでしょうか。

 

所得の低い家庭では、妻が専業主婦ではなくフルタイムで働いているケースが多いでしょう。夫と妻の収入は妻がひとまとめにし、収支をこなしています。夫に対しては「お小遣い」という形で月に数万円を渡しているのです。

 

これも日本に伝統的にある家計管理の手法です。

 

この場合は高所得世帯と違い、夫が家庭内貧困に陥っています。

月に2万円のお小遣いで、昼食とタバコとガソリンを賄うわけです。当然、自分が自由になるお金は多くありませんし、貯蓄など出来ません。古い友人との飲食の機会も避け、お金のかかる趣味は持てず、休日も家にいることが多くなります。

 

そこで世間のお父さん達は、会社からの出張手当を節約して小銭を貯めるなどして凌いでいることでしょう。

もちろん、妻と子も決して楽をしているわけではないのですが、夫は社会的機会を失いがちです。住宅ローンを借りるとさらにこの状態は厳しいものとなり、夫は自分が労働し生きていくことの意味すら見失いがちです。「男は身を粉にして働くもの」という価値観に縛られ、生きづらさすら感じているかもしれません。

 

家づくりにおいては妻の主導となりがちで、夫が要望を語ることは多くありません。

 

このように世帯年収という捉え方をしてしまうと、家庭内貧困に気づかなくなるのです。

 

家づくりをするときには、まずはこの問題について弊社FPを交えてじっくり話し合うことから始めていただきたいと思います。

 

夫が「オレが家を買ってあげるんだ」という発想があるのであれば、家づくりはまだやめるべきです。家庭の中で誰かが不幸になります。

また、夫が「オレが頑張るしかない」「オレが滅私奉公するしかない」と自己犠牲のヒーローになるようであれば、やはり計画は一休みすべきです。夫がいつか卑屈になるかもしれません。

 

もちろん高所得の夫は努力してきたからこそ高収入を得ているので、そこは否定すべきではありません。また自己犠牲の精神は深い愛情の一つですから、否定してはいけないものです。

しかし、その結果、家族のそれぞれが一人の人間として存在を尊重されているかどうかを考えてみるべきです。

 

収入を一つにまとめて夫か妻のどちらかが管理する体制でいいのか。これは人権の問題にもなります。貧困は健康問題にも直結することは想像に難くないはずですが、家庭内でも同じです。家庭内貧困はやはり健康問題にもつながるのです。

 

親がそうだったから自分も同じにする、というのであればまずはその価値観を一度見直しするべきでしょう。

 

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