今日のテーマは
メルカリとヤフオクの違いに見る、時代の変化
です。
メルカリやヤフオクというサービスを利用したことはあるでしょうか。知らない方はほとんどいないと思います。いわゆるフリマアプリと言われるものです。
簡単に言うとフリーマーケットをウェブ上で行うサービスです。
メルカリとヤフオクは同じようなサービスであるように思えますが、それぞれはっきりと違いがあります。
メルカリは売り手が値段をつけて販売します。値引き交渉などを質問欄で行うこともありますが、基本的には定額での取引です。
一方、ヤフオクはオークション方式です。購入希望者(入札者と呼ばれる)が希望価格を入札し、他の入札者と競っていきます。そのため購入できる価格(落札価格)がいくらになるかは分かりません。
この二つを比べると、残念ながらヤフオクは若い世代からの支持がありません。
2000年代まではヤフオクは人気がありましたが、運営会社の管理の問題、外国人出品者をはじめとする不正会員の詐欺行為、オークション方式の煩わしさや不透明さなどが目立つようになりました。
私自身かつてはヤフオクを利用していました。一度、出品者に騙され代金を支払っても商品が届かなかったことがあります。管理会社に問い合わせようにも窓口すらないということに、騙されるまで気づきませんでした。落札者が商品を受け取らなくても、一定期間が経つと出品者が代金を受領できるがヤフオクのシステムで、現在でも改善されていません。その出品者は今でも詐欺を続けていてヤフーからのペナルティはないようです。(それ以来、ヤフーIDそのものを解約してしまいました。)
しかしこういう運営面の問題も確かにありますが、ヤフオクがメルカリに追い越されてしまったのはもっと違う理由によるものです。
メルカリの人気の理由は何でしょうか。
・利用者が多くすぐに買い手がつく
・システムが分かりやすい
・利用者のマナーが良い傾向
・運営会社の対応が誠実
・あらかじめ出品者が売価を提示している
などがあげられるでしょう。
しかし、人気の理由はもっと本質的な部分であると言われています。メルカリと似たシステムだとしてもヤフオクがそっぽを向かれるのは、本質的に時代をどう捉えているかの違いです。
どういうことかと言うと、
まずメルカリは本質的に「価値観の共有」なのです。「自分が気に入って買ったこれ、自分と同じように価値を感じる方に〇〇円で譲ります」というのがこのアプリの本質的な姿勢です。
家の中の不用品を誰かに売りつけたい、という動機で始める人もいるかもしれませんが、それはあまり上手くいきません。なぜならメルカリは「商品説明」の欄がとても大切で、そこでの説明が拙ければ買い手がつかないのです。
売りたい商品について自分が持っている価値観を丁寧に説明できれば、他人から見たら「こんなものが?」というモノさえ売れていきます。
私自身、メルカリでたまに服などを売っています。その際は買った経緯、売ろうと決めた理由、商品への価値観を説明することですぐに売れていきます。
この価値観の共有という点がメルカリの本質的な特徴であり、魅力です。
一方、ヤフオクはどうでしょうか。
オークションということは、本質的に「競争」です。
そのモノに価値を感じるので競って手に入れたい、という動機で利用するサービスです。
しかし、価値を感じるので競う、という行為は言い換えれば「お金をたくさん持っていたら手に入る」ということでもあります。
美術品などのオークションを想像すれば分かる通り、落札できるのは常にその会場にいる大富豪です。そして競り勝った大富豪が誰かとその落札価格についてマスコミが報道するのです。
このお金があれば買えるという本質が、現代の日本では受け入れられなくなってきたのかもしれません。
前回のブログ、
もっと長期的な視点でお金の価値観を考えてみる - 家づくりのお金のこと
でも書きましたが、お金を出して手にいれた幸福は、儚く寂しいものです。幸福を手に入れるためにお金儲けをする!という価値観が過去のものとなっている現代ですから、値段を競う行為は受け入れらなくなっているのでしょう。
ヤフオクの利用者は傾向的に30~50代の男性が多いという調査があります。一方メルカリは20代~30代が最も多い層です。このことからも「お金の価値観」の差が人気の差になっていると言えます。
お金の価値観の変化に対応できなければ、これからのビジネスが先すぼみになるとあらゆる分野のビジネスオーナーは気づくべきですね。