本日のテーマは
住宅ローンの金利が上昇するというマスコミの報道には要注意
です。
最近次のような報道が多く見られます。
長期金利が6年ぶりに0.185%まで上昇したため、メガバンクが住宅ローンの長期固定金利を上げた、という内容です。
この報道を見ると、
住宅ローンの金利が上がる!→買い時を逃す!
と考えがちかもしれません。
本当にそうでしょうか。
結論から言うと、こうです。
フラット35や10年固定金利は一時的に上がるかもしれないが、変動金利に影響はほとんどない。
これを解説していきます。
まず、住宅ローンには大きく分けて二種類の金利があります。
長期固定金利に代表されるものがフラット35です。35年間金利が変わらないのがメリット(かどうかは分かりません)です。また当初10年間固定金利の商品も、長期固定金利ものに含まれます。
10年国債の金利が上がれば、住宅ローンの長期固定金利も上がるという関係です。(ざっくりと言えばですが)
なので今回、長期金利が上がったので、住宅ローンの金利が上がったというのは当然の話です。
短期金利とは、銀行が企業などに短期間だけ貸し出すときの金利のことです。
短期金利がどのように決まるのかというと
無担保コール翌日物と呼ばれ、かつて政策金利に使われていた金利に影響を受けます。これを元に銀行が決める短期プライムレートという金利があります。実際はこの短期プライムレートが住宅ローンの変動金利や短期固定金利に反映されます。
この短期金利は、政府がコントロールしているため、激しい乱高下はしにくいのが現状です。
少し難しいので、簡単にまとめると
変動金利・短期固定金利=短期プライムレートから影響=動きにくい
と覚えるといいと思います。
ついでに言うと・・・
先述の報道の件に話を戻します。
長期固定金利=10年物国債の金利がどんどん上昇=住宅ローンの金利も上昇、となるのでしょうか。
それは可能性は低いと弊社では考えています。
まず10年物国債の金利も、日銀がコントロールする政策が取られています。
2022年2月現在、日銀は0.25%を許容幅としていて、0.2%と超えると臨時の買い入れオペレーション(市場操作)が入ると言われています。
そのため、長期固定金利の住宅ローンの金利が上昇し続けるという事態は、考えにくいでしょう。
以下のリンクは、日銀が2021年12月にアナウンスした「当面の金融政策運営について」という文書です。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/k211217a.pd
要約すると、「日銀としてはコロナ禍でも景気は回復基調であるとみているが、当面は状況を注視し必要であれば金融緩和措置を講じる。政策金利は長期金利を下回る水準でコントロールする」
ということです。
このことからも、当面の間は住宅ローンの変動金利は大きく変動しないと判断できます。
2012年の安倍政権発足時も、マスコミは「住宅ローンの金利が上がる」と煽りましたが、結果的には変動金利も長期固定金利も下がり続けました。
その事実がありながらも、常に「これから金利は上がっていく」と言い続ける人たちが確実にいます。
厳しい言い方ですが、根拠のない「金利上昇説」を唱えることで、自分が売りたいものを売れる人たちがいるのです。
フラット35を取り扱う企業(住宅メーカーや取次店など)にはその方が有利でしょう。
フラット35の金利は建物の引き渡し時に決定されるため、契約時点では全く判断できないはずです。この報道をもって早期の購入を勧める行為はいかがなものかと思います。
今回の報道も、ポジショントークに使われる恐れがあります。
住宅購入を検討される方は、冷静な対処をお勧めします。