こんにちは。
住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
今日の話題は
自動車を買うときの予算の決め方
です。
結論から言います。
年収の3分の1が予算です。
筆者はかつて輸入車ディーラーで営業マン、営業管理職をしていた経験があります。それにプラスして、現在のファイナンシャルプランナーとしての立場を踏まえて、自動車を買うときの予算について簡単に説明したいと思います。
地方では自動車が必需品
地方では、自動車は生活必需品に近いものになっています。公共交通機関が崩壊した地域も珍しくなく、自動車が移動手段となっているのです。
特に青森の田舎町では、バスは朝と夕方の2本だけ、しかもそれは学生の通学に使われるのみで、通勤や買い物には全く利用されない(できない)という光景が当たり前になっています。
圧倒的多数はスーパーまで徒歩で30分以上かかる場所に住んでいて、中には車ですら30分かかるというケースもあります。
自動車を所有しないと生活そのものが成り立たない場所に住む人の方が多いのです。
しかし、たとえば青森県の平均年収は371万円です。この年収では自動車を所有し、何度も買い替えるのは本来であれば無理であるはずです。
ところが、新車は良く売れています。私が自動車セールスマンだった頃も、驚くほど新車が売れていました。
ファイナンシャルプランナーとして言うと、所得によっては、新車を買うのは避けるべきです。
新車を買い、新築の家を買い、子供を大学に進学させたいと願う。これを全部叶えたら、確実に老後に自己破産をします。
定年時に退職金が全くなかったり、あっても数百万円しかない状況では、そもそも新車を買うのはやめるべきなのです。
もし買うとしたら、どのような予算決めをすべきでしょうか。
車を買う時の予算の決め方
一つの目安は、
・年収の1/3以内であること
です。
年収が371万円であれば、車の予算は諸経費込みで123万円以下です。
この値段の新車はほとんどありませんので、中古車ということになります。
もし年収が600万円であったら、予算は200万円。やっと軽自動車の新車が買えるレベルです。
年収1000万円で333万円の予算を考えてもいいでしょう。
ここで注意すべきことは、年収が低いほど1/3も費やしてはいけないということです。
もし年収が250万円であれば、83万円の予算かと言うとこれは高すぎます。年収の1/10程度、つまり25万円程度の中古車に抑えないと貯蓄が出来なくなります。
これらは現金一括で購入する場合の目安です。
問題は自動車ローンを使って購入する時です。
自動車ローンを使って車を購入するときの予算
自動車ローンを利用するときの目安は、
・毎月の返済額が手取り月収の5%以下であること
です。
毎月の返済があると、家計のキャッシュフロー(収支の流れ)に確実に負荷がかかります。これをなるべく抑えるために自動車ローンの利用はなるべく避けるべきです。
もし借りるなら毎月の返済額は手取り月収の5%以下にしてください。
手取り月収25万円の場合、毎月の返済は12500円ということになります。60回ローンとして返済総額75万円です。
手取り月収25万円は、年収換算で400万円ですから、自動車の予算は年収の1/5程度ということになります。
もし年収1000万円の人がオートローンで自動車を購入するのであれば、返済総額を200万円に抑えるということです。
(そもそも1000万円の年収がありながら貯蓄で車を買えないのですから、家計に問題があるのは明白です。200万円も費やすべきではありません)
まとめ
まとめると、自動車購入の予算は
・現金購入の場合は年収の1/3以下
・自動車ローンで購入の場合は年収の1/5以下
です。
しかし実際には年収を遥かに超える予算で自動車を買っている人が多いのです。
自動車ローンの場合、返済比率で借入額が決まるという特徴があります。
年間返済額が年収の25〜35%以内が借りられる上限となります。
年収371万円であれば返済比率25%としても年間927,500円、5年ローンで返済総額は約463万円です。
年収の124%の予算ということです。
手取り月収23万円で毎月77,000円の返済という大きな規模の借入が可能になります。
返済比率が25%だとしても、10年ローンにしたら年収の2倍まで借りることも不可能ではありません。しかし、欲望に身を任せてその予算を借りたら将来どうなるかは、想像すればよく分かると思います。
自動車の価格はどんどん高くなっています。それに対して年収は過去10年同じような比率で上がっているでしょうか。
「全体的に高くなっているから仕方がない」と都合のいい言い訳をせず、年収が上がっていないのであれば所有する車のグレードを下げたり、軽自動車に替えるなどの対策は必須の時代です。
家族が喜ぶ立派な家を買うつもりなら、自動車へのこだわりは捨てましょう。一般的な年収の会社員にとって、そのふたつは両立はしません。