住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
今日のテーマは
家が高すぎて買えない!家は諦めるべき?2024年住宅購入の注意点
です。
とにかく家が高すぎる!
2023年から2024年現在にかけて、住宅購入を考えている人は痛感していると思います。
マンションも戸建ても、とにかく家が高いのです。
マンション価格は高騰の一途、戸建て住宅も建材価格も人件費も爆上がりしていて信じられないような見積もりになります。
弊社でライフプラン相談会をしているとこんな声をよく聞きます。
「家の見積もりを職場の先輩に言ったら、高すぎる、お前騙されてると言うんです」
どういうことかというと、職場の先輩は2010年頃に家を買っているわけです。当時の住宅価格は現在よりも20%~40%ほど安かったのです。
大手ローコスト住宅メーカーでは、坪単価20万円台を標榜していました。24坪の建物が700万円台で購入できる時代もあったのです。
それと比べたら、現在はローコスト住宅というものの定義が曖昧になり、かつて坪単価20万円台で売り出していたメーカーでも70万円程度。700万円だったものが2,000万円になっているということです。
ローコスト住宅ではない、もっと標準的な建物であれば坪単価は100万円を超えます。
職場の先輩が買った時代と今の時代は違うのです。15年も昔の話を常識のように今持ち出されても後輩は困惑します。
2024年現在、家はとにかく高いのです。
住宅ローン金利も上昇していく見通し
ご存じの方も多いかもしれませんが、日本銀行のマイナス金利の解除を受けて、今後短期金利を利上げするたびに住宅ローン金利は上昇していく見通しです。
金利上昇=返済額上昇を前提として住宅購入を考える必要があります。
買うべきなのか、待つべきなのか?
「今はやめてくべき」と言う人も多いのですが、その判断は多くの場合お勧めできません。
その理由は
- 住宅ローンを借りられる年齢には制限がある
- 建材価格が下がることは基本的にない
- 職人の働き方改革によって人件費はもっと上がる
- 待っている間に病気になったら団信保険に入れない≒住宅ローンが借りられない
- 住宅ローン金利が今後下がる要素は見当たらない
というものです。
投資と異なり、待ったところでメリットはほとんどありません。現在20代半ばであれば、10年程度待つことはできるでしょう。しかし、住宅購入の環境が今よりも向上する要素は見当たりません。
ただ年を取るだけという感じでしょう。
家を買わないという決断もあります。もし勤務先で賃貸住宅手当や社宅などの制度があれば、それを定年退職まで活用し貯蓄を増やすこともいいでしょう。定年退職後にあらためて家を買うのか、賃貸のままいくのか、選択することも可能です。
しかし子どもがいる場合、教育環境の問題があります。アパート暮らしの場合は子供は一定の不自由を感じることになります。家族のQOLも持ち家よりも低くなるでしょう。
賃貸か持ち家かの選択は総合的な判断が必要です。
2024年に家を買う時の注意点
2024年に家を買う時の注意点をいくつか挙げていきます。
住宅ローン金利が2.5%になっても返済できる予算かどうか
変動金利の返済ルールには、「125%ルール」と「5年ルール」が存在します。これは、金利が上がったとしても5年間は返済額が変わらない、6年以降は返済額も変わるが従前の125%が変動幅である、というものです。
しかし、125%とはいえその上昇額は軽くありません。10万円が12万5,000円になるのです。毎月の家計から25,000円の支出増となるわけです。
極端な計算に思えるかもしれませんが、金利が2.5%になっても返済できるような予算で住宅を購入しましょう。
15年ほど前、住宅ローンの金利は長期固定型で2%というものもありました。2.5%は非現実的な金利とは言えないのです。
10年後に繰り上げ返済用の原資として、500万円~1,000万円を貯められるか
変動金利が上昇したとき、家計のリスクを回避するために有効なのが「一部繰上げ返済」です。繰り上げ返済によって元金を減らすことができ、返済額の上昇を抑えることができます。
繰上げ返済には金融機関で手数料がかかるため(2万円~3万円程度)、あまり頻繁にはできません。そして繰り上げ返済が効果的なのは借り入れから10年~13年後までです。
10年後にまとまった金額(500万円以上)が貯められるような、住宅の予算のしましょう。
維持費はどのくらいか明確に予算立てする
マンションも戸建ても、高額な維持費が必要です。
マンションでは管理費、修繕積立金、設備の交換などが必要です。
戸建てでは屋根外壁の塗り替え、設備の交換、大規模リフォームや建て替えが必要です。
特に戸建ては「一生もの」ではないと強く認識すべきです。日本の建物の寿命は理論上80年程度とも言われますが、わずか10年で激しく劣化しているものもめずらしくありません。新築なのに結露が見られるようであれば、住宅ローンの完済前に解体となるかもしれません。
すべての住宅メーカー・工務店が完璧な建物を作れるわけではなく、残念ながら勉強不足・施工技術不足の会社もあります。しかしすべての会社が口を揃えて、長持ちしますと言うのです。
建物が一生ものになるかどうかは、建設会社選びにかかります。また設備が多すぎて交換費用が高額になれば、結局は家を所有し続けることが不可能になります。
設備の交換時期と費用、メンテナンスの時期と費用、光熱費の目安は建設会社に問い合わせてください。この部分を明確にしてくれる会社は非常に信用できます。
地方では有利なリセールは不可能
「住宅ローンの返済に困ったら売ればいい(貸せばいい)」と安易に考えている人もいます。
実際のところ、フルローン(または自己資金が数百万円程度)で新築住宅を購入した場合、住宅ローンの返済期間中に売却を検討しても、ほとんどはオーバーローンになります。
つまり借金が残ってしまうのです。
転売で住宅ローンを清算できるのは、東京都心のごく一部の築浅タワーマンションだけの理屈です。
また、貸せばいいと考えるかもしれませんが、全く現実的ではありません。
住宅ローンの毎月の返済額よりも高い家賃で貸し続ける必要があり、なおかつ固定資産税や火災保険、メンテナンス、設備の交換などの支払い義務が残ります。賃貸物件は借主が強い権利を持っていることはご存じの通りです。
住宅ローンを抱えた状態で賃貸に出しても、確実に赤字となります。
一度家を購入したら、保有し続けるしかないと自覚すべきです。
予算決めと返済計画は、住宅専門のファイナンシャルプランナーに相談すべき
予算や、リスク対策(病気や失業など)について、自己流で考えて成功できるほど、現在の市場環境は甘くありません。
親の世代と同じような感覚で家を購入すると、自己破産も十分にあり得るほど厳しい状況にあるのです。
親世代はファイナンシャルプランナーに相談などしなかったでしょうけれど、今は必ず相談を行って決めています。
ただし、ファイナンシャルプランナーにはそれぞれ専門分野があります。投資や生命保険を専門分野にするファイナンシャルプランナーに相談しても、なかなか有益なものにはなりません。
住宅については住宅専門を標榜している独立系ファイナンシャルプランナー事務所に相談してください。
住宅購入時のご相談は長岡FP事務所まで
↓