こんにちは。
住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
今日の話題は
住宅ローンの金利は今後どうなる?【2023年8月版】
です。
2023年7月28日、このような報道がありました。
とても難しい記事なので簡単に解説します。
YCC政策(イールドカーブコントロール政策)とは、日本銀行が長期金利を誘導する政策のことです。
日本銀行は市場にある国債を買い入れることで、10年国債の金利を政策に合わせて誘導しています。
なぜそんなことをするのかというと、次のようなメリットが考えられるからです。
↓
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銀行はお金の行き場所がない
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企業に低金利でお金を貸し出す
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企業が利益を上げやすくなり株価が上がる
つまり、景気対策の目的があります。
この国債の金利は0%程度で抑えられていましたが、2022年12月の金融政策決定会合において10年物国債の変動幅を+0.5%にすることが決定されました。
つまり10年物国債(長期金利)は0.5%程度まで上昇するかもしれませんよということです。
2022年の年末年始に、「住宅ローンの金利が上がる!」とマスコミが騒いだことを覚えている方もいるかもしれません。
長期固定金利型の金利は、長期金利を参考にそれより高くなるように決められているからです。
これによって若干ですが長期固定金利の住宅ローンの金利が上昇しました。
さらに今回、2023年7月28日の会合で+1%までは許容するという政策が決められたのです。
前回同様に長期固定金利型の住宅ローン(フラット35や10年固定型など)の金利がさらに上昇する可能性が強まります。
※住宅ローンの金利ついては過去記事を参考にしてください
nagaokafpoffice.hatenablog.com
長期固定金利は上昇開始、では変動金利はどうなる?
2023年7月現在、住宅ローンを借りる方の多くは変動金利を選択しています。理由は簡単で、変動金利の方が金利が安く、過去10年ほどはむしろ下がり続けてきたからです。住宅営業マンやファイナンシャルプランナーも変動を勧めてきたと思います。
変動金利が「変動」する仕組みを知ると、今後も変動の可能性は低いと言う人が多いのですが、果たしてそうでしょうか。
実はYCCによる長期金利が上昇すると、間接的に住宅ローンの変動金利も上昇する可能性があります。
そもそもなぜ変動金利は低く抑えられてきたのでしょうか。
それは、銀行にとって住宅ローンという商品が薄利多売で利益を出せる優秀な存在だったからです。個人の住宅に融資するため、デフォルト(破綻)率が極めて低いのが住宅ローンです。
YCCによって行き場を失くしたお金が、企業融資だけではなく、住宅ローンにも多く流れていったと言えます。
銀行にとって国債は、住宅ローンほど手間も人件費も必要がない投資先です。無理な金利引き下げ競争で経費を使うよりも、国債での運用を増やすかもしれません。
銀行の事業ポートフォリオ(運用資産の組み合わせ)が見直されると、住宅ローンの重要度、優先度が下がり、変動金利も上がっていくことが考えられます。
先日、みずほ銀行が事業ポートフォリオを見直し、住宅ローンの割合を下げる方針であることが報道されました。
メガバンクがローリスクローリターンである個人向けの事業を削減していく方針なのです。住宅ローンの優先度が明らかに下がっている中、変動金利がこのまま低水準で推移するとは言えなくなりました。
変動金利が上昇していくと、ギリギリの返済計画で買い入れを行った世帯は一気に自己破産が進みます。月の返済金額が2万円上昇するともうライフプランの全てが狂う家は少なくありません。特に地方ではそうです。
では変動金利の上昇に備えて何をすべきでしょうか?
いくつか考えられる行動があります。
ネット銀行で借換する
ネット専業銀行は住宅ローンに力を入れているため、今後もメガバンクと比較すると低い金利で推移すると思われます。
しかし、ネット専業銀行の住宅ローンの審査は著しく厳しいのです。その理由として独特の審査基準が挙げられます。ネット専業銀行の融資審査は個人の信用情報や職業年収の他に、土地と建物の担保価値も厳しく見られます。
特に地方都市のさらに郊外、坪単価の低い土地にローコスト住宅を建てていたら、担保価値は残念な状態です。いくら信用情報が問題がなくても、担保としての価値がないので審査はNGということになります。
実例として、青森県の郊外(非線引き区域)に自宅を購入した公務員の世帯は、ネット専業銀行の審査はNGでした。坪単価2万円の土地にローコスト住宅を建て、住宅ローンに自動車購入費を含めて借りていたせいです。たたでさえ担保価値が低い物件に対して、ローンの残債が多すぎることがNGとなった理由です。
公務員として安定した年収があり、金融事故がないにも関わらず借りられませんでした。
地方都市のさらに郊外にお住いの方はネット専業銀行の住宅ローンで借換をするのはあまり期待しない方が良さそうです。
繰上げ返済をする
これが一番現実的なリスク回避策です。
今のうちに貯蓄を始め、住宅ローンの金利が大きく上昇したら一部繰上げ返済を実行します。そのことで金利上昇の影響を抑えることが出来ます。
その貯蓄はいつ必要になるか分からないので、投資信託や外貨建て保険などで運用するのは避けた方が無難です。数日のうちに現金化し繰り上げ返済を行う必要があるため、「いま解約すると損をする」という状況では貯蓄としての意味がありません。
なるべく普通預金にてつみたて、準備しましょう。