こんにちは。
住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
今回の記事のテーマは
ダブルインカムの世帯なのに自己破産する人がいるのは何故なのか?
です。
貯蓄ゼロで毎月お金が足りない状態
毎月決まった額の収入がありながら、住宅ローン以外の借金があり、貯蓄はゼロ。それどころか毎月の支払いが多すぎて生活費が足りなくなる状態。
生活費が足りなくなると文字通り生活ができなくなってしまいます。そのためクレジットカードを利用し、その翌月はさらに支払額が多くなります。そしてさらに家計収支が圧迫されていく負のループ。
そういう状態になると、毎月の支払方法に小細工をするようになります。引き落とし口座を分けて、「優先順位が低い」と考えている支払いをわざと遅らせるのです。住宅ローンを滞納すると大ごとになるため先に払うようにし、保険などは遅らせ、なんとか生活費を残そうとします。
しかし当然ながらそれは全く意味がありません。
自動車保険を失効した状態で事故を起こし損害賠償を自己負担することになったり、生命保険を失効した後で入院をし病院に入院費を支払えなくなったりするのです。そうなるとまたクレジットカードやカードローンを利用せざるを得なくなります。
毎月の固定の支払いで「遅れてもいい」ものはひとつもありません。遅れたら必ずトラブルに見舞われ、さらにお金がかかってしまうのです。やがてクレジットカードの支払いも遅れカード類が全て止められてしまい、資金繰りが破綻します。
後手に回った家計管理は、そうしてどんどん苦しさを増し、精神的にまともな状態ではなくなるため、友人にお金を借りようと頼んでは断られたりします。そうなると友人関係を必ず失うのはご存じの通りでしょう。
「お金を借りようとしてきた」というだけでまともな人たちからは信用を失います。
最後は自己破産です。
毎月決まった収入がありながら、自己破産へと向かう理由
家計の収支が大きく崩れ、後手に回る様子のことを「資金繰りの破綻」と呼んでいます。
この資金繰りの破綻はなぜ起こるのでしょうか。
・支出に対して収入が少ない
・収入に対して支出が大きい
このどちらかしかありません。収入からはみ出した支出を埋めるためにあがき、翌月から数か月後に破綻となるのです。
前者の「収入が少ない」は自営業者や完全歩合制で働く人に多い状況です。働いていても月の収入が全くないか数万円程度という状態では、家計破綻が起こるのは想像に難くありません。
問題は後者です。収入額が固定されているのになぜ支出の方が大きくなるのでしょうか。
本来、支出が大きくなることはあり得ません。人は誰でも収入の範囲内でしかお金を使えないからです。そのため支出は収入以下に留めて生活をするのが普通です。
支出が大きくなってしまうのは、「やりくりが下手だから」と言う人が多いのですが、ファイナンシャルプランナーの立場で多くの家庭を見ていると、やりくりが下手なだけで家計が赤字になることは絶対にないと断言できます。
支払いが苦しければ、人は誰でも支出を抑えるように行動します。携帯電話を格安SIMにする、保険を解約して安いものに替える、サブスクリプションを解約する、自動車を売却しローンを完済する、など固定費を削減するのが当然の行動です。
また、食費なども工夫をして数千円であっても節約することが出来ます。
しかし、自己破産まで進んでしまう家庭はこの節約の行動をとるのが遅いのです。
気が付いたら手遅れになっているわけです。
節約、支出削減などの行動は、本当の貧困にまで陥ったらもう出来なくなります。
本当の貧困に陥ったら節約は不可能になる
最近、X(旧Twitter)でこんな話題が盛り上がりました。
#クロ現
— あらみぼむ (@aramiwonder) 2023年7月18日
たまたま見てるんだけど、節約シチューに
・肉は高いのでウインナーで代用
→絶対鶏肉のほうが安くない?
・かさ増しに缶詰コーン
→同じ金額分じゃがいも入れたほうがかさ増えない?
・じゃがいも玉ねぎのかわりにカット野菜
→もやしもキャベツも煮込んだらかさ減るよ?
謎すぎる🤷🏻♀️
生活困窮者が作る節約シチューにウインナーを使うのは節約になっていない、というごもっともな意見なのですが、これに対し、このような意見がありました。
「こうすればもっと節約できる」と貧しい人を批判する人が主張する節約法、正しかった試しがないのはなぜなんだ。カネないなら鶏ムネなんか買っちゃダメだ、うまみ薄いから調味料やダシ使ってしっかり調理しないと旨くならないし使いまわしも利かず保存も悪い。ウィンナーやベーコン買うべき。
— 借金玉 (@syakkin_dama) 2023年7月19日
つまり、節約というのはある一定の「生活が苦しい状態」までしか実行はできないということです。そのラインよりも下の貧困状態に陥ってしまったら、鶏肉を買うよりもウインナーを買った方が、脂やうまみがあるので調味料を買ったり調理器具を揃えたりする必要がないのでいいのです。
これと似た経験を私自身もしています。
私はかつて貧困のどん底で暮らしていたことがあります。私の場合は売れない自営業者であったため収入が月に数万円しかありませんでした。
そのため、車がボロボロでも買い替えることができません。車を使って自営の仕事をしていたので車は必需品。しかしお金がないので、知人から車を譲ってもらいました。
その車は、排気量3000㏄の大型セダン。燃費はリッターあたり6キロしかありません。お金がないのにガソリン代がとにかく高いのです。本当であればハイブリッド車を買った方がガソリン代はその3分の1で済むでしょう。でもそもそも買えないのですから、節約自体が贅沢に思えました。
その大型セダンはろくに整備もできず、真冬に前輪が外れて大破し廃車となりました。その後、車をどうやって買ったかは覚えていません。たぶんまた違う知人からもらったのでしょう。
このように、節約は本当の貧困に陥ったら単なる夢物語になってしまうわけです。
家計が苦しくなったら、「あれ、先月も今月もお金が足りなくなったな、なぜ?」という段階で節約に着手すべきなのです。
しかしこれよりももっと目を向けるべきポイントがあります。
実は家計が苦しくなる根本的な理由は違うところにあるのです。
家計が破綻する本当に本当の原因
自己破産まで突き進んでいく人を見ていると、最初のきっかけにはあまり種類がないような気がします。
それは
・ギャンブル依存
・不倫や風俗通いなどの性的逸脱
・酒、違法薬物への依存
・買い物依存(過剰な買い物が止まらない)
・成功願望への依存
・管理能力の欠如(精神的な疾患が原因のことも)
このどれか、あるいは組み合わせであるのが現実です。
金銭管理の能力が欠如している妻が不倫をしたら、当然不必要なはずの出費が重なります。精神疾患に陥り酒や買い物に依存するようになっても同じです。ギャンブルは言うまでもありません。
実力以上の買い物をしてしまうことも原因です。高額なクルマ、時計、貴金属、エステなどです。その背景には管理能力の欠如だけでなく買い物依存が隠れています。
副業と称してネットワークビジネス(成功願望)にハマり、在庫を抱えたりしまうことも家計を狂わせます。ネットワークビジネスにハマる人は見栄を張り合うため、高級車をローンで買うこともよく見る光景です。
最近話題が多いカルト宗教も同様でしょう。
どうも精神的な不安定さが隠れているようなのです。
このように本当の最初は何らかの「逸脱行為」があります。最初は小さい逸脱のはずが次第に大きく膨らんでいくものです。
このような逸脱行為は他人に正直に話すケースはごく稀です。夫婦間でも正直に話すことはめったにないと思います。他人に相談する時は、最初のきっかけを自覚していても伏せています。
収入が一定レベル以上あるのに家計が破綻する人にはこのような背景があるのです。