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住宅購入に役立つお金のことを解説

【マイナス金利解除】住宅ローン金利は上昇ムーブ→意外とチャンスかも

住宅ローン金利が上がったら生活はどうなる

2024年3月、日本銀行マイナス金利の解除を発表しました。

 

この報道に注目したのは、もしかしたら金融業界や不動産業界の人、投資家だけかもしれません。

 

失われた30年とも言われる日本経済の、大きな転換点になる発表です。

 

道のりは相当険しいものになりそうですが、マイナス金利の解除によって、これからの日本はやがて「金利のある世界」になっていくはずです。つまり「銀行に預金すれば利息がつく」ということです。

しかしそれと同時に、「銀行からお金を借りると利息が今まで以上につく」ということでもあります。

 

住宅ローンを抱えている私たちの生活は今後どうなるのでしょうか。

 

 

マイナス金利の解除ってどういう意味?

マイナス金利について、1分で分かるように説明します。

 

マイナス金利とは、国の景気対策です。

 

銀行が日本銀行にお金を預けると手数料を取られますよという制度です。日本銀行に預けると銀行は損をするので、企業や個人にお金を貸して景気を刺激しましょうという制度だったのです。

 

市場にお金が余るように操作することが、マイナス金利ともいえます。

 

マイナス金利の解除とは、この政策を辞めますよという意味です。

 

東京新聞に分かりやすい図がありました。

 

マイナス金利の解除とは

www.tokyo-np.co.jp

 

これからは、

マイナス金利の解除→お金の供給量が減り→預金の利息が上がる

という流れになります。

 

また、お金の供給量が減る→住宅ローンなど借り入れの利息も上がることになります。

 

つまり、金利上昇ムーブに突入してきたと覚えておきましょう。

 

住宅ローン(変動金利)の金利が変わる仕組みは?(少し難しい)

変動金利型の住宅ローンの金利はどのような仕組みで変わるのでしょうか。

 

ネットを見ていると「短期プライムレートと連動する」と書かれている記事が多いようですが、厳密には間違いです。

 

「短期プライムレート」とは、金融機関が優良企業に対して貸し出す場合の最優遇貸出金利のうち、1年以内の短期の金利です。確かにこれを参考にして住宅ローン金利が決定されているのは事実です。

 

しかし、短期プライムレートは、日本銀行政策金利である「無担保コールレート・オーバーナイト物」に従って各銀行が自由に決めています。短期プライムレートは日本銀行が決めるものではないのです。

 

つまり、住宅ローン金利(変動型)は、無担保コールレートが上昇すれば、銀行がそれぞれの方針によって短期プライムレートを決定し、同時に変動金利も変動させる可能性がある、ということになります。

 

短期プライムレートが上昇しても、住宅ローン金利を上げるかどうかは銀行の経営上の都合によります。上げない銀行もあるかもしれません。

 

ネット銀行を中心に、引き続き低金利を売りにする金融機関はあっても不思議ではありません。

 

住宅ローンの変動金利の今後は?

現在、マイナス金利の恩恵を受けて、住宅ローンを変動金利で借りている人が大半です。

 

日本銀行の発表では、マイナス金利を解除しても当面の間は「緩和的な環境」を継続するということなので、すぐに利上げを連発することはないのではと予想されています。

 

しかし、2024年の春闘の異常なまでの満額回答の連発、日本株価の著しい上昇など、まるで仕組まれているかのような状況を背景に日本銀行の発表が出ました。あの流れを見ると、そう遠くない未来に度重なる利上げが待ち構えているではと思ってしまいます。

 

あまり難しく考えずとも、日本は利上げムーブの最初のステップを踏んだと考えていいでしょう。

これから変動金利は上昇していきます。それは遠い先ではないと思っておいていいはずです。

 

住宅ローンの金利が上がる

 

金利上昇によって起こる家計の危機

春闘が満額回答し賃上げになったのは、あくまでも大企業です。多くの中小企業では賃上げなど夢物語です。

 

日本銀行が考えている賃上げなど、大半の日本人には絵空事、綺麗ごとなのです。

 

コロナ禍などによって物価が上昇していて実質の可処分所得は大きく減っています。要するに生活が楽ではなくなっています。

 

これに加えて、もし住宅ローンの毎月の返済額が2万円上昇したらどうなるでしょうか。

年間24万円、10年で240万円も支出が増えます。

 

もしこれをつみたてNISAに入れることが出来ていたらどうなるでしょうか。運用益を含めるともっと大きな金額が、住宅ローンの利息に吸い取られていくということです。軽自動車一台分、屋根外壁の塗り替え費用一回分、太陽光パネルの交換費用一回分に相当します。

 

さらに勤務先が倒産したり転職を余儀なくされたら・・・

 

金利上昇に加えて収入が減ってしまうと、ゲームオーバーになりかねません。

 

金利上昇に備えるためには、

 

  • 一部繰上げ返済で元金を少なくする
  • 家計の支出を引き締める
  • 収入を増やす

 

これらが必須です。緻密な家計の資金繰りを考えていく必要があるので、家計の見直しに強いファイナンシャルプランナーに相談をした方がいいでしょう。

 

家を買うのは待つべき?

筆者のもとにも、「いま家を買うのはやめるべきか?」という相談が急増しています。

 

しかし、残念ながら不動産投資でもない限り、家を買うのを待つという選択肢はありません。

 

買うか、やめるかかしかないのです。待つという選択肢はないのです。

 

住宅ローンの返済期間は35年です。

65歳定年だとすると、30歳には返済を開始しなければ現役中に完済できません。

 

金利が上昇するから家を買うのを待ったとしても、完済時の年齢がどんどん老後になっていくだけです。定年退職時に退職金と貯金で持ち家を買える富裕層なら待ってもいいかもしれません。

しかし大半の会社員にそんな余裕はありません。

 

老後に家賃を支払う余裕はないので、多くの会社員は持ち家を買うしかないのです。

 

ただし、今までとは少し違う住宅購入のあり方が生まれる可能性があります。新築信仰が根強かった日本ですが、今後は中古市場が拡大していくと思われます。

 

それは新築住宅が高すぎるという現状に加え、利上げによってある事情が生まれるからです。

 

そのある事情とは・・・

 

変動金利が上昇し続けると家を失う人が増える

筆者は年間200世帯程度、累計4000世帯以上、住宅購入時のライフプランニングを行っています。

 

かつてローコスト住宅メーカーにおいて相談会を行っていたことがあります。想像通り、ローコスト住宅メーカーで購入する家族の大半は所得が高くありません。はっきり言うと低所得層です。

 

残念なことに、低所得層は家計を改善する行動をしません。所得が低い人ほど問題意識を持ち解決していく行動を取るのが苦手なのです。ファイナンシャルプランナーのアドバイスや忠告など無視をし、無計画に家を買ってしまった人が多いのです。

 

世帯年収450万円で新築の家を買い、高級ワンボックス車をローンで買い、子供が2人いるような家庭です。どうやってやりくりしているの?と周囲は疑問に思いますが、貯金は一円もなく、数千万円の借金を返しながら刹那的な暮らしをしています。

 

その人たちの多くは、住宅ローンの金利の上昇が続けば家を失うことになります。

自己破産もしくは任意売却が増加していくでしょう。

 

現時点でも住宅ローンの返済を一度か二度遅れたことがある人は、家を失うのは時間の問題です。

 

本来利上げによって景気が良くなっていくはずですが、ファイナンシャルプランナーが日常的に見ている世界線ではそう優しい世界にはならないと分かります。

かつてのリーマンショック低所得者向けのサブプライムローンが発端だったように、ローコスト住宅を住宅ローンで購入した低所得層の破綻によって、近い将来、日本経済に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

2010年代に流行した超ローコスト住宅は地獄行きの切符と言っても過言ではありません。

 

住宅ローン破綻

2024年問題で新築住宅の着工棟数は激減する

運送業界、建築業界の働き方改革である「2024年問題」によって、人件費が高騰していきます。この人件費は会社が丸抱えしきれないため、必ず物価に反映されます。

 

新築住宅はこれまでもウッドショック、コロナ禍によって高騰し続けていますが、今後はさらに高くなるということです。加えて、建物の省エネ基準の義務化によって必要な設備が増えます。

 

今後の住宅は、平均以下の所得の会社員には手が届かない買い物になります。

 

建売住宅を中心に、新築住宅が売れない時代が2023年から始まっています。今後はさらに新築の着工棟数が減っていく予想です。

 

中古物件の市場が拡大する可能性

新築を諦めるとしたら、考えるのは中古物件です。

 

これまで日本は中古市場が未発達でしたが・・・先述したように、中古物件の供給が増える可能性があるのです。

 

住宅ローンの金利上昇で家を失う人たちが激増するため、中古物件も増えるという理屈です。築浅ばかりですから、中古市場は熱くなっていくでしょう。

 

特に2010年代に低金利を背景に建てられたローコスト住宅が今後の中古市場に流れ込んできます。

 

これから住宅を購入する人たちにとっては、築浅の中古住宅も選択肢になっていくと思われます。

 

不動産投資には好機到来か

不動産投資をしている人にとっても、もう新築は値段が高すぎます。積極的に中古物件を選択することになるでしょう。

 

その場合にも、ローン破綻によって任意売却された格安の住宅は、築浅でいい仕入れ対象になるかもしれません。土地、建物ともにイマイチのローコスト住宅ですが、築浅で仕入れが安ければいい利回りとなります。

 

まとめ

マイナス金利の解除によって、家計は一層厳しいものになります。家計の見直しをプロのファイナンシャルプランナー事務所に依頼することをお勧めします。

 

これから住宅を購入する人は、「待つ」ことに意味はありませんが、この数年でローン破綻して任意売却された中古物件が多く出回るようになります。それを狙ってもいいかもしれません。

 

住宅購入時のライフプラン相談会は当社をご利用ください。

 

nagaokafp.jp