長岡FP事務所のブログ

住宅購入のお金のこと

住宅ローン控除と「居住の用」の関係

今日のテーマは

 

住宅ローン控除と「居住の用」との関係

 

です。

少しややこしい話なので、簡単に解説していきます。

 

まず、住宅ローンを借りて住宅を購入したとき、所得税および住民税から減税される制度があるのはご存じかと思います。

くわしくはこちらです

↓↓↓

www.nta.go.jp

 

制度の詳しい説明は割愛しますが、この減税を受けられるためにはいくつか条件があります。

そのひとつがこれ。

 

(1) 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。

 

国税庁のホームページには書かれています。

新築の住宅を購入した場合、登記をした後で住民票を移し、実際に引っ越しをして住み始めた年から住宅ローン控除を受けられるということです。

 

また、10年間~13年間継続して減税を受けるためには、「減税を受ける各年の12月31日」に居住していることも条件です。

もし転勤によって家族全員で数年間引っ越したら「居住の用に共」していないので、減税は受けられなくなります。

 

では単身赴任をした場合はどうなるでしょうか。

住宅ローンを借りた主債務者が単身赴任によって居住の用に供さなくなるということですが・・・

この場合、単身赴任の場合は、家族が引き続き居住している限り特別に減税を受けられます。国税庁のホームページの次のように書かれてあります。

 

www.nta.go.jp

 

繰り返しますが、もし家族の同伴で引っ越した場合は減税は受けられません。ただし再び戻ってきて居住を始めた場合はそこからまた減税を受けられます。

この時、居住していなかった年数は控除年数(10年または13年)に含まれてしまいます。13年間のうち、転勤で5年間住んでいなかったとすると、減税を受けられるのは8年間のみ、ということになります。

 

このように、控除を受けるためには「居住の用に供しているか」は重要なポイントなのです。

 

ではここから、二つのケースについて解説していきます。

 

年末ぎりぎりの引き渡し。実際に居住していないが住民票は転入した場合

 

12月に建物が完成しているものの、住宅メーカーで完成見学会を数週間やった場合にこのようなケースが起こります。

完成見学会が終わってからやっと引き渡されるのがクリスマス直前だった場合。すでに引っ越し業者は年末年始の休みに入っていて、冷蔵庫など大きな家電や家具の搬入が出来ないことがあります。かろうじて市役所で住民票の転入を済ませるものの、実際に住める状態になるのは、年明け1月以降でしょう。

 

引渡し前から住宅ローンの返済が始まっている場合、さっそく住宅ローン控除を利用したいのですが、控除のためのこの条件が壁になります。

 

(1) 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。

 

12月31日に居住していることが条件です。

引っ越してきて実際に住んでいる実態がなければ、住宅ローン控除は使えません。

 

税務署の実務としては居住しているかの確認は住民票で行うとされています。住民票の提出は求められていませんが、住民基本台帳システムで確認しています。

 

では住民票だけを移動させれば、引っ越しをしていなくても、その年の分の控除を受けられるのでしょうか。

厳密にはこれは脱税という犯罪行為です。

実際に住んでいないので控除は受けられません。

 

この場合は翌年分から控除を受けましょう。

一年ずれることで控除額が少なくなることがありますが、やむを得ません。

 

脱税行為はどこかで必ずバレます。

 

年末ぎりぎりまで完成見学会をやってから引き渡しされた場合、12月31日までに居住していないことを近隣住民の方が見ていることがあります。建築中のマナーが悪く近隣に迷惑をかけていた場合、厳しい目で監視する住民もいます。税務署に対し、実際に引っ越してきて夜電気がついていたのは1月以降だった、と密告されることもあり得ます。「ひどい」と思うかもしれませんが、ルール違反をしているのは事実なので文句は言えません。

 

居住の用に供していないにもかかわらず、住民票を移動させることを「仮装の行為」と呼び、重加算税の決定処分を受けたケースがあります。その後平成22年にこの処分を不服として争いましたが、覆ることはありませんでした。(国税不服審判所)

 

年末の引き渡しを諦め年始にすることで、固定資産税が一年分かからないというメリットがあります。年末に引っ越せそうにない場合は無理をせず、年始の引き渡しを計画しましょう。

 

子供の学区の都合で、新居に住民票を置けないが居住している場合

 

こちらは上記の逆のパターンです。

 

・新居には実際に居住している

・新居に一度住民票を移した

・初年度の住宅ローン控除の確定申告は済ませた

・子供の学区を変えたくないので住民票を学区内である実家に戻した

 

つまり「居住の用に供しているが、住民票を置いていない」ということになります。

この場合は控除の対象となるのでしょうか。

 

まず住宅ローン控除の話の前に、大前提として気を付けなければならないことがあります。

そもそも論ですが、

 

居住している場所と、住民票上の住所が異なるのは違法行為です。

 

住民基本台帳法には次のように定められています。

 

第四章
 
(転入届) 第二十二条 転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。以下この条及び第三十条の四十六において同じ。)をした者は、転入をした日から十四日以内に、次に掲げる事項(いずれの市町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者にあつては、第一号から第五号まで及び第七号に掲げる事項)を市町村長に届け出なければならない。
 
第六章
 

 第五十二条 正当な理由がなくて第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出をしない者は、五万円以下の過料に処する。

 

 
つまり、転入から14日以内に住民票を移さない場合、5万円以下の罰金に処されるという意味です。
 

しかしこの法律とは別に地方税法ではこのような記述もあります。

 

地方税法294条第3項

市町村は、当該市町村の住民基本台帳に記録されていない個人が当該市町村内に住所を有する者である場合には、その者を当該住民基本台帳に記録されている者とみなして、その者に市町村民税を課することができる

 

住民税は住民税上の住所ではなく、実際に居住している自治体に納めると定められています。これは「住民票の住所」よりも「実際に住んでいる場所」が優先されるという判断です。

実際に住むということは消防やごみ処理などの行政サービスを受けるので妥当な判断でしょう。

 

年末調整で記入する住所も、本来は住民票の住所=実際の住所なのですが、実際に住んでいる住所の方が優先されます。住民税も実際に住んでいる自治体に納められます。

 

これらを含め総合的に考えてみると、本来住民票を移さないのは違法ではあるが、実際に居住の用に供しているのであれば住宅ローン減税を受けられると判断できるかもしれません。

 

繰り返しますが、住民票が正確に届けられていないのは違法行為であることには変わりません。

住民票を移せないやむを得ない正当な理由があるときには、住宅用家屋証明書を市町村に発行してもらうことも出来ます。これは登録免除税の軽減や住宅ローン控除の確定申告時に必要な書類です。これによって居住を証明することも出来ます。

 

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