本日のテーマは
家を買う時、自己資金をどのくらい用意すべきか?
です。
ここ10年くらい、ハウスメーカーの展示場などでは営業マンが「自己資金はゼロでも建てられます」と言うことが増えました。
つまり、建物、土地、諸経費を全て住宅ローンでまかないましょうということです。
下の記事でも少しお話ししましたが、親世代とは違って金利が極めて低いため、全額をローンでまかなっても毎月の支払いは割と現実的に見えます。
nagaokafpoffice.hatenablog.com
この「自己資金は必要ない」という言葉を、少し分析してみます。
まず、営業マンがそう言う根拠は次のようなことが挙げられます。
①自己資金を貯めている数年間で金利が上昇したら、貯めた分が金利の支払いで飛ぶ
②自己資金を貯めている数年間も、賃貸マンション・アパートの家賃が必要
③建材価格が上昇しているため、数年後は今よりも建物の値段が高くなる
④地方都市では宅地が不足していて、数年後に気に入った土地が見つかるとは限らない
⑤配偶者が産休や育休などにより年収が下がると、借り入れの審査が厳しくなる
⑥年齢が進むと借り入れの審査が厳しくなる
この5つです。
どれも決して嘘ではありません。
自己資金を用意せず今すぐ住宅を購入するメリットは確実にあります。
住宅ローンの返済期間は35年~40年です。地方銀行では40年がメインとなっています。
30歳の時に支払いがスタートしたら、完済するのは70歳です。
1年でも大切にしてほしい、早めに建てたほうがいい、そういう気持ちで営業マンは話しているはずです。
性能の低いアパート暮らしでは、特に冬場の光熱費が高くなりがちです。それならまず家を買ったほうがずっと得ですよ、ということです。
また宅地不足ということも、地方都市では深刻になっています。
2007年の改正都市計画法で大規模な開発が難しくなったことと、固定資産税の制度の問題や少子化による相続の事情で放置される空き家が増えていることなど、原因はいくつかあります。
営業マンの多くは言わないことですが、私からはこう付け加えています。
「お子さんが18歳になるまで後何年でしょうか。お子さん自身が新築の家に住めるのは18歳までです。」
地方の高校生は卒業すると進学や就職で家を離れることが多いでしょう。そうなると我が家は「自宅」ではなく「実家」になります。もう滅多に実家には帰ってこないのです。
それならば18歳までのうちにいい家で過ごさせてあげたいものです。
一方で、自己資金を用意しないデメリットもあります。
デメリットは次のようなことが挙げられます。
①借り入れが大きくなると金利が高くなる傾向がある
②借り入れが大きいので保証料が高くなる
③将来借り換えをするのが難しくなる
この3つです。
特に③の借り換えが難しくなるというのはあまり知られていません。全額をローンでまかなうということは、諸費用分も借りているということです。そうなると、借り換えするときのローンの残高よりも、実際の家と土地の価値の方が低いという事態が起きます。
銀行は借り換えの場合、融資率(融資額÷物件で計算する担保価値の割合)で判断しています。
一定の融資率を超えたら借りることは出来ません。この基準は銀行によって異なります。
下の表は融資率をどのように設定しているかの統計でs。
借り換えの場合は、融資率200%という銀行もあれば、100%以内という銀行もあります。
諸費用、外構工事(玄関前のコンクリートやカーポートなど)、家具購入費や自動車ローンの借り入れ分まで含めて借りていると、将来の借り換え時に融資率がオーバーする危険が高まります。
この点から、出来る限り自己資金を用意するのが無難です。
用意する目安としては、資金計画のうちの、建築工事費の消費税分、別途工事費(外構費など)、その他費用(印紙代など)などの合計です。
下の例で言うと、500万円程度ということになります。
最後に、貯蓄はあるが自己資金としてどのくらい入れたほうがいいか?という質問も多くあります。
この場合はあえて、申込金10万円程度だけで、全額ローンを借りてもいい場合があります。
住宅ローン減税が終わる10年~13年後に自己資金を繰り上げ返済に充てて減税メリットを最大限享受することも出来ます。
ただし今の年収と納税額によって違いますので一概には言えません。住宅ローンの保証料なども考慮すると、自己資金を入れたほうがいい家計もあります。
自己資金の問題は、住宅営業マンは相談相手になりにくいのが現状です。
必ずライフプラン相談会で専門のファイナンシャルプランナーに意見を求めてください。
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