今日のテーマは、「木材の値段が爆上がりしているけど、家は買えるの?買っていいの?」です。
コロナ禍で飲食店を中心に不景気風が吹き荒れる中、想像がつかない事態が起きています。
住宅用の輸入木材が、とんでもない高騰を見せているのです。
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シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)での木材先物価格が、一時1000BF=1733.5ドルにまで上昇。2020年3月は200ドル台だったため、この一年で6倍以上に高騰しました。このブログを書いている2021年5月19日は、米株式市場の急落を受けて1200ドルまで落ち着いていますが、依然として高い状況です。
原因としては
①アメリカと中国での住宅需要の増加
②輸送コンテナの不足
が挙げられています。
①アメリカと中国での住宅需要の増加
アメリカでは政策による低金利によって住宅需要が激増していること、
好景気が続く中国がアメリカ産の木材を「爆買い」し続けていること、主にこの二つの状況が背景にあります。
中国は国土が広い国ですが、天然材を伐採しまくった結果、長江が大洪水を起こしたことはニュースなどで知っている方も多いと思います。ずさんな治水対策と批判を受け、2016年以降天然材の商業的伐採は禁止する政策が進められています。(中国社会経済開発第13次五カ年計画)
その結果、木材は輸入材に頼るようになりました。
(参考資料)
②輸送コンテナの不足
木材に限らず、現在、輸送コンテナが不足しています。輸送コンテナとは、これです。
コンテナが不足する背景として、コロナ禍での巣ごもり需要で運ぶものが増えていることが挙げられます。加えて、アメリカではトラックドライバーが不足し、荷物を降ろしてもらうための列が出来ている状況。
コンテナ不足はそのまま運賃へと転嫁されてしまいます。
このふたつの原因によって値段が上がるだけではなく、日本では中国などに買い負けてしまい圧倒的な「モノ不足」(供給不足)も始まっています。
基礎が出来ても上棟できないので、そもそも着工のめどが立たないという状況にもなるでしょう。
簡単に言うとこのような原因がありますが、気になるのは一般の消費者にどのくらいの影響があるか?ということです。
輸入木材の値段が上がると、当然住宅価格にも影響があります。木材だけで約2割程度の値上がりが予想されています。そうすると消費税にも影響があり、購入価格は跳ね上がります。住宅ローンの元金が増えるということは、利息も増えるということです。
特に価格の安さを売りにしているローコスト住宅は、かつてのように建物本体で数百万円!という値段にすることは難しくなります。消費者にとって収入が上がらない現状で建物価格の下限が押し上げられ、住宅を手に入れることが困難な人も出てくるはずです。
また、着工のめどが立たなくなると、土地を見つけたとしても買っていいものか悩むことにもなります。土地だけを先に買って返済が始まり、固定資産税を支払いながら今の賃貸住宅の家賃も払っていく、しかし建物の着工の目途はつかず住宅ローンの契約ができないまま年齢が上がっていく。
しかも建物の値段は数年前よりも相当高くなってしまう。
そう考えると、木材価格が落ち着いたら家を買おうかと思うかもしれません。
しかし、価格の高水準はこの数年は維持されるという意見が大半です。
今後の予測は?
米金融機関ウェルズ・ファーゴのレポートによると、木材の供給不足は年内には緩和する見通しだが、旺盛な需要を賄いきれるほどには回復しないという見方をしています。
言い方を変えると、木材は手に入るが値段は安くはならないという意味にも読めます。
自然乾燥の高価な国産材を使って、資金に糸目をつけずに建築出来る富裕層ならまだしも、予算に限りがある一般消費者にとって、住宅購入は厳しさを増していくと思われます。
地方都市ではまだ安い土地を選ぶことで建物価格の高騰を吸収することは出来そうですが、それでも一定以下の年収の世帯は住宅購入を諦めるケースも出てくると予想しています。
限られた予算の中で、中古住宅やそのリノベーションの市場が拡大していくかもしれません。
しかし、性能と耐久性が低く維持費が高い中古住宅を買うことは、新築とは違うリスクを抱えることになります。
住宅取得専門のファイナンシャルプランナーとしては、次のような選択が必要と考えています。
①家計を緻密に改善し、しっかりと建物に投資する
②将来の収支を計算し、無理であれば購入計画を先送りする
今まで以上にライフプランニングの緻密さが必要です。
必ず住宅専門のFP事務所にご相談ください。
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