家を買う時に読むブログ

住宅購入に役立つお金のことを解説

残価設定ローンは不利なのか?→どっちでもいい

 

こんにちは。

住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。

 

本日のテーマは

 

自動車ローンの【残価設定ローン】は本当に不利なのか?

 

です。

 

結論から言います。

「不利ではないけど得でもない」です。

そもそも車をローンで買っていることに問題あり、です。

 

最近は自動車が高すぎる

 

最近の自動車の価格はとても高くなっています。

どのくらい高くなっているかと言うと、たとえば「ホンダ・シビック」を例にとってみます。

 

かつてホンダ・シビックは、トヨタ・カローラに対抗するエントリーカー(廉価車)で、特に10代、20代の独身の若者に人気のあった車です。筆者も10代後半の頃に乗っていたのは中古のシビックでした。

 

このシビックの値段を調べてみました。

1989年モデルの最廉価グレード「23U」の本体価格は778,000円です。消費税の無い時代ですから税抜き価格です。

 

一方、2023年モデルの値段は、最も安い「LX」で3,190,000円です。

なんと4倍以上も値段が上がっています。

 

もちろん現在のシビックはエントリーカーとは言い切れないカテゴリーです。かつてのシビックと比較するべき車種は「ホンダ・フィット」でしょう。

 

フィットの最廉価グレードのBASICは1,592,800円(税込み)です。税込みとはいえ、1989年のシビックよりも約2倍高くなっています。

 

1989年より大卒初任給が二倍になっているかと言うと全くそうではありません。ただひたすら自動車が高くなっているわけです。これでは平均的な所得の若者は自動車を買えません。

 

若者のクルマ離れとよく言われますが、そうではなく「自動車業界の若者離れ」なのです。

 

そこで近年注目されているのが「残価設定ローン」という買い方です。

 

残価設定ローンとは

 

残価設定ローンの仕組みを正確に理解している人は、販売する側も含めてごく少数というのが実情です。

 

ごく簡単に説明すると、

「3年後・4年後・5年後に車を返却することを前提として、下取り価格を据え置いて少額ずつ返済すること」

です。

 

仕組みとしてはこうなります。

 

つまり、期限が来たら、1・2・3のどれかを選択しなければなりません。

 

わざと返済の残り(残価)を作るので、毎月の返済額は安いですよという仕組みなのです。

 

わざと少しずつしか返さない(返済が進まない)ということです。

 

販売する側の説明のミス

 

自動車営業マンがこのような説明をしていることがあります。

 

「5年後の下取り価格をあらかじめ差し引いてローンを組む方法です」

 

残念ながら、これは大間違いです。この説明が誤解を招いているのです。おそらく営業マン自身が理解していないのでしょう。

 

あくまでも「わざと返済の残りを作る」だけで、残価を「差し引いている」わけではありません。

 

返済を遅らせているだけです。

 

そのため、金利は残価を含めた全額にかかります。

返済のスピードを遅らせているだけの仕組みなので、金利の総額は通常ローンと比べて高くなります。要するに、支払いを遅らせているだけで元金が減っていないだけなのです。

 

残価設定ローンのメリット

 

この残価設定ローンのメリットは、なんといっても毎月の返済額が安いということです。

残価設定期間を3年間にすれば、車検を取らずに新車を乗り換えていくことが可能です。

しかも新車保証の期間内ですので、消耗品交換と事故以外の支出を前提としなくてもいいということになります。

それに、常に新車に乗れるのは気分もいいことでしょう。

 

残価設定ローンのデメリット

 

デメリットとして挙げられるのは、「車は新しくなるけれど、ローンがいつまでも続く」という点です。家計のキャッシュフローが悪化するため、住宅を買いたいときに重い足かせとなります。

 

新車に乗れて整備費も少なくて済むけれど、それ以上に自動車ローンの返済が毎月のしかかる点もデメリットです。しかしこれは残価設定ローンに限りません。自動車をローンで購入したら必ずこうなります。

 

また、年間走行距離が長い人は残価が減らされてしまうため、期間終了後に清算(追い金の支払)が必要になります。事故を起こし車両を損壊させた場合も同じです。

 

前述のとおり、通常ローンよりも支払利息が高くなる(同じ金利だとしても)のもデメリットでしょう。

 

しかし残価設定だからと言って、特別大きなデメリットがあるわけではないと思います。些末な損得を考えたら通常ローンの方がいいかもしれませんが、自動車を購入する以上、大きな支出をしているのは同じなので、得をすることは皆無です。

 

自動車をローンで買うことに問題がある

 

自動車の購入は、家計の支出にとって大きなマイナスを生みます。商売をしている方であればそれは設備投資ですが、一般消費者にとっては自動車は消費です。決して資産にはなりません。

 

消費である以上、買わない方が家計に優しいということになります。

 

新車を購入したら10年~15年は所有する、中古車を買って10年所有するという人の方が家計が安定するのは当然です。

 

そして一般的な家庭にとって現代の新車は高すぎます。世帯年収が1000万円を超えている家庭でも中古車や軽自動車を長期間所有している一方で、世帯年収400万円の世帯が高級ミニバンを10年ローンで購入していたりします。

後者は自動車の負担が大きすぎ多くは老後に貧困が待っています・・・

 

自動車をローンで買い、住宅ローンもあと数十年残っていて、子供は大学進学を控えている・・・という状態の家計では、まともな金銭感覚の人であれば不安でしょうがないはずです。

 

これで不安でないのは現実逃避しているか、単純なお金の収支を見ていないだけです。

 

自動車のローンさえなければ、もっと生活が安定する家庭がほとんどです。

せめて自動車を買う時は現金一括にしましょう。一括で買えるだけの予算に抑えましょう。中古も当然ありです。

 

どんな車でも10年も所有すればボロボロです。すぐにスクラップになるものに、ローンまで組んで買うメリットは多くはありません。

クルマは道具と割り切り、手持ちの現金で買えるものだけにしてください。

 

nagaokafp.jp