家を買う時に読むブログ

住宅購入に役立つお金のことを解説

現金一括で家を買うと税務署からお手紙が届きます

 

こんにちは。

住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。

 

今日の話題は

現金一括で家を買うと税務署からお手紙が届きます

です。

 

結論から言います。

税務署から疑われているので対応は早めにしましょう。

 

現金一括で家を買う・・・なんて多くの会社員にとっては夢のまた夢です。

 

三井住友信託銀行が2022年に行った調査によると、家を買う人の78.6%が住宅ローンを利用しています。

しかし残り21.4%、5人に1人は現金一括で購入していることになります。

現金一括なんて退職金をもらった高齢者だけだろうと思いきや・・・なんと20代では25.2%の人が現金一括購入です。

 

なぜ20代が現金一括で家を買えるの?と疑問に思ったかもしれません。その疑問は、実は税務署も思うのです。

 

税務署からやってくる「お尋ね」の手紙

 

現金一括で家を買うと、高確率で税務署から「お買いになった資産の買い入れ価額などについてのお尋ね」という用紙が届きます。

 

こちらがサンプルです。

いろいろ難しいことが書いてありますが、税務署が知りたいのはたったひとつです。それは・・・

 

家を買ったときの現金、どうやって手に入れたの?

 

です。

 

「毎月の給料からコツコツ貯めました」と言ったら何も問題はありません、と言いたいところですが、それが不可能であるケースがあります。

 

29歳、年収350万円の会社員が現金一括で4,000円の家を買ったと考えてみてください。

 

22歳から給料を一円も使わず貯めたとしても貯蓄は4,000万円には届きません。

 

だとしたら可能性はいくつかあります。

 

・親や祖父母からの相続があった

・親や祖父母から住宅資金の贈与を受けた

株式投資などで大きく増えた

・宝くじが当選した

 

この場合、相続税贈与税の確定申告、株式の譲渡益の確定申告が行われているのであれば、問題ありません。

宝くじの当選金は非課税です。

 

お尋ねの用紙にそのままを書いて提出すれば終わりです。

 

しかし・・・税務署の本音はもっと違うところにあります。

 

そのお金、インチキしたものじゃないの?

です。

 

無申告の現金を隠し持っている原因

 

税務署が疑念を持っているのは、確定申告してない収入を隠し持っているかどうかです。

 

つまり脱税したお金で家を買ったのでは、ということです。

 

脱税したお金を持つに至った原因は次のように考えられます。

 

親から贈与されたお金を無申告

 

住宅資金贈与の非課税制度はあるものの、

↓↓↓↓↓

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

これには非課税の上限額があり、なおかつ確定申告も必要です。上限額を超えたお金の受け渡しがあっても確定申告をしていないのは=贈与税を納めていない=脱税、ということになります。

 

夫婦間での贈与も課税されると知らない

 

家の登記は、「お金を出した人=所有者」であるのが大原則です。しかし妻の貯蓄で家を買い、それを夫の名義で登記をしたら、妻→夫への贈与になります。その場合は夫が贈与税を納めなればなりません。

 

夫婦で共有の場合も、自分の持分の割合=資金を出した割合で持分を登記しなければなりません。資金を出した割合よりも多く持分を登記すると、はみ出した分は贈与ということになります。

これを知らずに家を買ってしまうと、結果的に脱税したお金での購入ということになります。

 

事業所得を無申告

 

これは個人事業主に非常に多く、耳が痛い人もいるでしょう。

たとえば美容室を経営しているとします。現金でカット料金をもらったものを「ないもの」として売り上げから除外。売り上げを低く見せて確定申告し、税金(所得税と住民税)の支払いを逃れているというケースです。

その無申告のお金を貯め続けていたとしたら?

まさに脱税そのものです。

 

最近ではユーチューバーやアフィリエイター、転売などの副業で稼ぐ人もいます。月に5万円しかないからと言って無申告のまま放置している人が非常に多くいます。本業の勤め先に副業がばれると解雇されるという心配もあるせいでしょう。結果的に脱税という犯罪になってしまいます。

 

これらの意図的な脱税行為によって口座にお金が入っているケースがあります。

 

これらの無申告のお金を貯めこみ家を買うと、税務署が「キミ、なんだか理屈に合わないよね?」と言ってお尋ねしてくるというわけです。

 

余談ですが、前述の美容院のケース。これは税務調査が入ると簡単に見破られます。シャンプーなどの資材の棚卸をさせられると、売り上げと資材の減り方がアンバランスだと分かります。同じように仕出し屋(弁当屋)も売り上げを過少に申告しても割りばしの数を棚卸させられ、嘘がばれた事例があります。

 

税務署も人件費がかかっているので、税務調査でより多くの追徴課税ができる案件を見つけようとします。単なる住宅資金の話ではなく、そこから深堀してより深刻な申告漏れがあると踏まれると、もうお手上げです。

 

お尋ねを無視したらどうなる?

 

税務署からのお尋ねはあくまでも任意であるため拒否することも出来ます。しかし、用紙の返送をしないまま放置すると、税務署から職員が自宅にやってきたり、あるいは税務署への呼び出しを受けることになります。

 

任意とはいえ、無視すると厄介なことが待っているだけです。

 

呼び出しも無視していると本格的な税務調査が開始されます。金融機関や住宅メーカーに調査依頼が出され、お金の流れをチェックされます。当然ながら調査依頼が発せられたことを金融機関などは教えてくれません。

淡々と調べられ、巨額かつ悪質な事案が隠れていると判断されると、脱税容疑で国税庁査察部が裁判所の令状を持って突然訪問してきます。これは任意ではなく強制なので拒否できません。非常に長期にわたる取り調べを受け、最悪は逮捕・拘留・裁判・罰金刑・懲役刑に至ります。

 

会社員だとしたら職場を解雇されてもおかしくありません。

 

住宅の代金だけであれば逮捕まで至ることはまれでしょう。

しかし税務調査や査察の結果、より大きな不正事案が発覚すれば逮捕もあるのです。企業オーナーや資産家は顧問税理士がついているため脱税行為のお金で家を買うなど絶対にありえません。

しかし「確定申告の知識すらないユーチューバー」などでは、脱税したお金で家や高級車を買ってしまう可能性があります。それをネット上で見せびらかして簡単に発覚することもあります。ユーチューバーの場合、振り込みで売上が入金されるのですから簡単に足がつきます。

 

そもそも無申告で脱税したお金は「銀行口座に入れられない」「大きな買い物はできない」のです。お金はあるのに使えないわけです。

それを大切に床下に隠し持ったまま死んでも、遺族もまたそれを使えません。そのうち紙幣にカビが生えますが、新札と交換することもできず、そのうち紙幣の肖像画が変わったのに床下に隠しつづけ・・・

お金があっても使えないという滑稽な事態になります。

正当に納税をして有効に使う方が絶対にいいはずですが・・・人間の欲というのは理不尽なものです。

 

お尋ねが来たらこうする

 

税務署からのお尋ねが来たらどうすればいいでしょうか。

 

正当な資金で購入しているのであれば、ありのままを書けばいいだけです。調べても不正は出てこないのですから恐れる必要はありません。速やかに返信してください。住宅購入資金の場合は、企業の税務調査と違ってそれ以上の追求はありません。

 

もし、不正な資金で購入していた場合は、隠し通せないと覚悟してください。正直に申し出て修正申告をし、重加算税、延滞税、無申告加算税を支払う準備をしてください。「家の購入に充てたので納税資金がない」というのであれば、銀行から借りてください。借金してでも払う義務があるのです。

 

ペナルティーの加算税分は分割納付は不可能です。納付できなければ現金一括で購入した家が差し押さえられることになります。

 

しかしペナルティーを支払えば事が穏便に済むのですから、お尋ねの無視など絶対にやめましょう。

 

現金一括がいいか、住宅ローンを使う方がいいか

 

税務署からのお尋ねはあるものとして考えていくと・・・

 

もし正当な手段で手に入れた現金があるとしたら、現金一括で買うのか、住宅ローンを使うのか、結局どちらがいいのでしょうか。

 

最近ファイナンシャルプランナーがこう言う光景が多いと思います。

 

「住宅ローンはフルローンにして、手持ちの現金は投資に回しましょう」

 

・・・これ、本当にやめてください。

ライフプランをどう考えているのでしょうか。

 

そのファイナンシャルプランナーと金融業者が手数料を吸い上げるための養分にさせられるだけです。

 

こんな記事も書いているので参考にしてください。

↓↓↓↓↓

gentosha-go.com

 

正しい答えとしてはこうです。

 

・諸費用分は自己資金で用意する

・教育費や車の購入などで必要な分は手元に残す

・変動金利が上昇した時に繰り上げ返済に使えるように、手元に多めに残す

・万が一働けない場合に備えて2年分程度の生活費として現金を残す

・投資は必要ない

 

となると、多くの会社員世帯の家計では、諸経費分プラスアルファだけ自己資金で残りは住宅ローンを利用するということになります。

 

諸費用分を自己資金で払えなければ、将来住宅ローンの借換えが厳しくなります。

変動金利はしばらく変動しないと主張するファイナンシャルプランナーもいますが、それを断言できる立場にはありません。

教育費は、もし子供が私立大学に進学したいと言った場合を想定しておきましょう。

現金を手元に残すことで、医療保険や就労不能保険に入らなくても済みます。

 

まとめ

 

一括購入は正当な資金で行いましょう。

税務署のお尋ねは無視してはいけません。

ライフプランに沿って、自己資金の金額を決めましょう。

 

ではまた次回の記事をお楽しみに。ありがとうございました。

 

 

弊社のホームページはこちら

 

 

nagaokafp.jp